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文楽初春公演 第一部 [舞台]

1月3日(木)4日(金) 国立文楽劇場

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寿式三番叟 ことぶきしきさんばそう
住・文字久・咲甫・睦・希・咲寿・亘・始、錦糸・燕三・清志郞・龍爾・寛太郎・清公
和生の翁、勘弥の千歳、一輔と幸助の三番叟

昨年夏から病気休演していた住大夫がこの公演から復帰!満員の客席から、住さんが姿を見せると大きな拍手が湧いた。よかったよかった。新春の公演にこんなめでたいことはない。
三味線の演奏に続いて、住大夫の低い第一声が聞こえると、万感胸に迫る、と言うとちょっと大げさだが、ああまたこのお声を聞くことが出来た、と言う喜びに胸がいっぱいになった。少しおやせになったかしら。声量も落ちてはいるかも。でもこのじっくりと胸に響く声はやっぱり住さんなのだ。
ただでも荘厳で祝祭の演目が、住大夫復帰を祝う観客と他の大夫三味線、人形の緊張と喜びを生んで、特別な舞台となった。

人形も、和生の翁が気品あり、勘弥の千歳もすっきりと行儀良い。勘弥さん、幕開き一人で(いや、左と足はいるけど)出てきて、住さんの声を聞きながらじっとたたずんでいるって凄い緊張だろうなあ。
三番叟の一輔幸助の若手コンビが良く動いて華のある様子。今年期待の二人。

義経千本桜 よしつねせんぼんざくら
 すしやの段 源・藤蔵、津駒・寛治、文字久・宗助
勘十郎の権太、玉女の弥助実は維盛、紋壽のお里、玉輝の弥左衛門、簑二郎の母、文昇の若葉の内侍

勘十郎の権太は去年の巡業でも見ていて、良いのはわかっていたが、さらにレベルアップ。
前半の母を騙して金を騙る所の細かい演技が実に味がある。包丁出して死ぬ振りとか首をくくる振りとか、嘘泣きとか。いつもこんなに色々やってたっけ?面白おかしい。
一転、内侍若君の扮装をさせた妻子との別れに涙をこらえる様子、さらに手負いになっての述懐に苦しさと悲しさがあって泣かせる。笛を吹くところがほんとに苦しそうで切なかった。

お里の紋壽さんも休演から復帰。こちらもお元気そうで良かった。可愛くいじらしいお里。
玉女の弥助実は維盛もすっきりとした二枚目。
簑二郎の母に慈愛があり、玉輝の弥左衛門も気骨ある老人の様子。

源大夫はもう本当に声量がなくて…(ToT)下手の席だと聞き取れないことも。語り口はさすがに上手いが、聞いていて辛くなってしまった。
盆が回って津駒さんになると正直ほっとした。津駒さんはさすがに安定、寛治さんともどもじっくりと。
文字久宗助も懸命の舞台。権太の述懐、親の嘆きなどを熱演。

増補大江山 ぞうほおおえやま
 戻り橋の段 呂勢・三輪・津國・南都、清介・喜一朗・清馗・清丈・寛太郎
文司の渡辺綱、清十郎の若菜実は鬼女、紋臣の右源太、玉勢の左源太

昼の部最後はスペクタクル感たっぷりの面白い舞台。
清十郎の若菜はスモークと(!)せりで登場。文楽でせりって珍しい。ガブの顔をちらりと見せた後はしとやかな女のふり。正体を綱に見破られると形相変わって鬼となり、鬘も変わって、綱と立ち回りはするわ、毛振りはするわ、最後は宙乗りまで見せて大サービス。清十郎ファンとしては、今月これだけか~と見る前は思っていたが、どうしてどうして大満足でしたわ。

文司の綱も落ち着きと貫禄あり。綱と若菜の立ち回りは、まだ息があっておらず手探り感は否めなかったが、日につれて良くなるだろう。
 
床は中堅どころで、最近こういう場面の受け持ちが多い呂勢がここも力の入った語り。
清丈と寛太郎が琴(八雲)で聞かせる。

華やかで打ち上げには良い演目。
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