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レーピン展 [美術]

8月27日(月) Bunkamuraザ・ミュージアム

国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展

日本では初めてのレーピン(1844‐1930)の本格的回顧展だそう。そういえば、ロシア絵画展などで数点見たことはあるが、こんなにまとまった数を見たのは初めて。

前にロシア美術展を見た時は西欧でも僻地ゆえの保守性みたいな感じがしたが、今回はマネの人物画やモネの風景画のような印象派の技術も取り込みながら、あえて20世紀的絵画に行かず踏みとどまったという感じを受けた。特に肖像画のモデルの内面に迫る力は圧巻。

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ムソルグスキーが亡くなる10日前に描かれた肖像。
偉大な作曲家の肖像、と言うにはあまりにリアル。ボサボサの髪、酒乱を思わせる鼻の赤み、狂気をはらんだ瞳。

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皇女ソフィア 原題:ノヴォデヴィチ修道院に幽閉されて1年後の皇女ソフィア・アレクセエヴナ、1698年に銃兵隊が処刑され、彼女の使用人が拷問されたとき
歴史に題材を取った絵も多い。傲然と腕を組み、怒りのあまり目を剥いている皇女。鬼気迫る姿に圧倒される。

一方で、家族など身近な人を描いたものには愛情溢れる絵も多い。
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休息―妻ヴェーラ・レーピナの肖像
丁寧に描き込まれた顔や手、細部までこだわりの見えるドレスの描写。とても美しい絵。

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あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち
これなんて、ほんとモネの絵に雰囲気がそっくり。
こういう技法も身につけていたのに、これ以上印象派に近寄らずにいたのが面白い。
確かに斬新さや目新しさは感じられないのだが、いわば、写真にはできない、絵画だからできる表現を突き詰めていった、と言う印象。

ロシアでは国民的画家として名高いが、日本での知名度はいまいちかも。今回この回顧展を見て改めてすごい画家だと思った。もっと知られて良い。

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