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八月花形歌舞伎・昼の部 [舞台]

8月19日(日) 新橋演舞場
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今月の演舞場は花形歌舞伎。例年は中村屋を中心にした納涼歌舞伎だったが、顔ぶれもだいぶ変わって、今回の中心は福助、海老蔵、愛之助。よく考えるとふしぎな組み合わせではある。

桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)
  発 端 江の島稚児ヶ淵の場
 序 幕 新清水の場       
  桜谷草庵の場
 二幕目 三囲の場
 三幕目 岩淵庵室の場
  四幕目 権助住居の場
  大 詰 浅草雷門の場           
白菊丸/桜姫  福 助        
清玄/稲野屋半兵衛  愛之助             
粟津七郎  右 近            
葛飾のお十  笑 也             
吉田松若  児太郎              
奴軍助  弘太郎             
端女お咲  歌 江            
入間悪五郎  亀 蔵               
残月  市 蔵               
長浦  萬次郎    
釣鐘権助/大友常陸之助頼国  海老蔵

有名な割には上演頻度の高くない作品で、私が生で見たのは高麗屋親子のと、玉三郎が段治郎とやったのと、後はコクーン歌舞伎版だけ。
福助はいわば満を持しての桜姫だったのではないのか。こちらもそれなりに期待して臨んだのだが。
まず発端の白菊丸が良くない。なんというか、清潔感がない。そりゃ心中するような稚児だけど、清玄にそこまで思わせるような綺麗さがないんだな。
そういう綺麗さがないのは草庵の場での権助との濡れ場がひどくて、いくら濡れ場でもお姫様らしい品というのが全くなく、海老蔵ともどもなんか欲望丸出しのいやらしさだけが目について、げんなりした。
後半の身を持ち崩してからの方はまだ良くて、特に遊女となって伝法な言葉遣いをするあたりは上手い。姫よりこういうのの方がニンに合っているのだろう。残念ながら。
愛する権助が父と弟の敵でお家の仇と知った苦悩を見せて、我が子も手に掛ける悲しさ哀れさもあり、ま、終わりはなかなか。

海老蔵の権助は似合いの色悪だが、先述の通り濡れ場が見苦しい。うっとりするような濡れ場じゃなくて、やらし~、と言う感じ。それ以外は、何を考えてるのかわからない冷酷さに時折素っ頓狂な味が混ざる、行き当たりばったりな権助の悪人風の味がぴったり。

愛之助の清玄、高徳な僧の清潔な様子がぴったり。それが桜姫に執着して落ちていく哀れさと怖さを見せて、上々。

右近の忠臣と笑也のその妻が堕ちた後の姫と権助に絡む件がいまいちわかりにくい。
市蔵の残月と萬次郎の長浦が持ち味を出し、亀蔵の悪五郎も三枚目敵の味。
弘太郎の奴が爽やか。児太郎の松若も行儀良い。

何となく話がすっきりしないのはカット場面が多いせいだと思う。刈り込んで整理するのは良いけれど、やり過ぎると作品の味まで減ってしまう。


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