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ジャクソン・ポロック展 [美術]

4月1日(日) 東京国立近代美術館
http://pollock100.com/

生誕100年記念の、日本では初めての本格的回顧展だそう。
アメリカの前衛美術を代表する画家。といってもわずか40数年の生涯。まさに流星のようにアメリカン・アートの世界に現れて走り去っていった才能。

ポロック以前のアメリカの美術界は、ヨーロッパの亜流に過ぎず、ポロックを得て初めてアメリカがアートシーンの最前線に立ったとまで言われた。

初期の絵はね、なんか暗いの。具象を引きずった抽象画というか、半端な印象。
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《誕生》1941年頃

それが40年代に入って、後にポロックのトレードマークとも言われる「ポーリング(pouring)」という技法を初めて一挙に飛躍する。キャプションを見ても、何をヒントにポーリングを始めたのかはわからないのだが。
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《ポーリングのある構成Ⅱ》1943年
あ、ちょっとカンディンスキーみたい、と思った。まだ何となく対象の「モノ」の存在が感じられる。

ポーリングとは、床に置いたキャンバスに絵の具をたらして描くこと。我々日本人から見ると、なんだか書道みたいな感じも。案外そうだったりして、と思ったのは、ほとんどモノトーンの絵はまるで前衛書道のようにも見えたから。
ともかくこの技法で、だれもやっていなかった新しい絵画世界に踏み込んだ。つまり、何を描くか、ではなく、どう描くかが重要視されるモダンアートシーンが開かれたのだろう。

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《ナンバー7,1950》1950年
不規則な規則性、みたいなリズムが感じられる。

素人目には、一見ただ絵の具をまき散らしたかのように見える絵も、作家は様々な計算や考えの上で描いているのだろう。その線状のポーリングの跡がキャンバスの上をうねる様子がまるで生きているような面白さがある。

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《インディアンレッドの地の壁画》1950年 


でも、こういう技法は煮詰まっちゃうんだろうな。色や線の形を変えても結局似たり寄ったり。
そこからポロックの苦悩が始まるのだけれど、変化の兆しを見せつつも、乗り越える前に事故死してしまった。神様は時間を与えなかった。
でも彼の死からすでに50年以上たつのに、ポロックを越える衝撃を与える前衛画家がどれほど生まれたろう?
改めてポロックの突出した感性の先鋭さに思いを馳せた展覧会。

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palette

リズム感!
モダンアートって、形じゃないんですね。

>何を描くか、ではなく、どう描くか

この前観た「靉嘔」さんの絵もそういう感じでした。
mamiさんみたいに的確には言い表せませんでした(^^;
by palette (2012-04-04 17:56) 

mami

paletteさん、
モダンアートって、何描いてるかわかりませんよね(^_^;)
昔はそれをわかろうとして面白くありませんでした。
今はもうそういう無駄な抵抗は止めて、見えるままに見るようにしたらちょっと楽しめるようになりました。
でも好き嫌いで言うと、やっぱり好きじゃないんですけどね。
by mami (2012-04-04 23:56) 

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