3月大歌舞伎夜の部 [舞台]
3月12日(月) 新橋演舞場
宗吾霊三百六十年
東山桜荘子
一、佐倉義民伝(さくらぎみんでん)
序 幕 印旛沼渡し小屋の場より
二幕目 東叡山直訴の場まで
木内宗吾 幸四郎
おさん 福 助
徳川家綱 染五郎
宗吾長男彦七 金太郎
大名久世大和守 友右衛門
同 井上河内守 権十郎
同 酒井若狭守 亀三郎
同 三浦志摩守 亀 寿
同 青山伯耆守 松 也
同 稲葉丹後守 宗之助
同 浅野摂津守 萬太郎
同 伊丹肥前守 廣太郎
同 秋元但馬守 廣 松
松平伊豆守 彦三郎
渡し守甚兵衛 左團次
幻の長吉 梅 玉
今年、実在の宗吾が処刑されてから360年を記念しての上演。
幸四郎の宗吾を観るのは二回目か。この人のリアル志向の芝居は、古典歌舞伎より新歌舞伎やこういう演目に向いているようで、この宗吾もいかにも律義で実直な名主を至極丁寧に演じている。でも熱演、とはちょっと違うんだな。家族との別れの切なさも、決死の直訴も、すごくちゃんとやっているのに胸に響かない、このまるでかゆいところに手が届かないようなもどかさは何なんだろう。
福助の妻おさんもまずまず過不足ない演技。
金太郎の彦七が健気で泣かせる。ずいぶんしっかりしてきたねえ。子供の成長は早いわ。
左團次の甚兵衛が朴訥とした味わい。
彦三郎の伊豆守が温情ある様子。
梅玉の長吉は、なんで出てくるのかわからないようなちょい役だが、さすがに手堅い。でも何も梅玉がやらなくてもなあ、という感じ。
並び大名が望外に御曹子がずらりで楽しい。
染五郎の将軍がご馳走。
しかしなんですね、この芝居って、「幡随院長兵衛」と「筆屋幸兵衛」をごっちゃにしたような話だなあ、なんて不謹慎なことを感じてしまった。
二、唐相撲(とうずもう)
日本人 菊五郎
通辞 團 蔵
皇后 梅 枝
官人 亀三郎
同 亀 寿
同 松 也
同 萬太郎
通辞夫人 萬次郎
皇帝 左團次
能の同タイトルの演目を歌舞伎に移したもので、初見。
なんというか、菊五郎劇団って、こういう馬鹿馬鹿しいだけの演目を大真面目にやって面白がらせる、すごいチームだな、というのを再認識。
正直言うと、せっかく菊五郎始め劇団の主立った顔ぶれが揃いながらこんなのやらなくても、とは思うのだが、観ている間は面白可笑しくて笑いの連続。ま、お堅い芝居だけが歌舞伎じゃないよ、ってことですね、はい。素直に楽しませていただきました。
萬次郎の中国語が本物だそうで、才人ぶりを発揮。あの声で中国語しゃべるとまるで京劇観てるみたいで可笑しかった。
梅枝の皇后が綺麗。国性爺合戦の錦祥女とか見てみたいな。
三、小さん金五郎(こさんきんごろう)
金屋橋の金五郎 梅 玉
芸妓額の小さん 時 蔵
太鼓持六ツ八実は木津屋六三郎 松 江
芸妓大村屋お糸 梅 枝
千草屋娘お崎 右 近
千草屋女房お縫 歌 江
奈良屋権左衛門 錦 吾
広瀬屋新十郎 團 蔵
女髪結お鶴 秀太郎
これもね、なんでこの顔ぶれで上方狂言やらなあかんの???という疑問符が頭に充満した演目。
話もそれほど面白くもないし、誰が主人公なのかもはっきりしないような、最後は、あ、そう、それで良いんですかあ?みたいな(苦笑)。
役者はみんなよく頑張ってるんですよ。秀太郎以外みんなお江戸の人なのに、慣れない上方言葉一生懸命マスターとまではいかなくても何とか聞けるレベルまではこなしてるし。でもこういう上方もののふわふわしたあほらしさで笑わせるまではいかないので、はっきり言ってつまらなかった。
秀太郎は孤軍奮闘で、お馬鹿だが可愛くて憎めない女をさすがに好演。
梅枝も時蔵も綺麗だし、梅玉もすっきりした二枚目ぶり。松江がつっころばし風の若旦那の味を懸命に。
う~、でもなんかみんなちょっとずつ違うんじゃない?というむずがゆさのような思いが最後まで残った。
ということで今月夜の部は不完全燃焼。
宗吾霊三百六十年
東山桜荘子
一、佐倉義民伝(さくらぎみんでん)
序 幕 印旛沼渡し小屋の場より
二幕目 東叡山直訴の場まで
木内宗吾 幸四郎
おさん 福 助
徳川家綱 染五郎
宗吾長男彦七 金太郎
大名久世大和守 友右衛門
同 井上河内守 権十郎
同 酒井若狭守 亀三郎
同 三浦志摩守 亀 寿
同 青山伯耆守 松 也
同 稲葉丹後守 宗之助
同 浅野摂津守 萬太郎
同 伊丹肥前守 廣太郎
同 秋元但馬守 廣 松
松平伊豆守 彦三郎
渡し守甚兵衛 左團次
幻の長吉 梅 玉
今年、実在の宗吾が処刑されてから360年を記念しての上演。
幸四郎の宗吾を観るのは二回目か。この人のリアル志向の芝居は、古典歌舞伎より新歌舞伎やこういう演目に向いているようで、この宗吾もいかにも律義で実直な名主を至極丁寧に演じている。でも熱演、とはちょっと違うんだな。家族との別れの切なさも、決死の直訴も、すごくちゃんとやっているのに胸に響かない、このまるでかゆいところに手が届かないようなもどかさは何なんだろう。
福助の妻おさんもまずまず過不足ない演技。
金太郎の彦七が健気で泣かせる。ずいぶんしっかりしてきたねえ。子供の成長は早いわ。
左團次の甚兵衛が朴訥とした味わい。
彦三郎の伊豆守が温情ある様子。
梅玉の長吉は、なんで出てくるのかわからないようなちょい役だが、さすがに手堅い。でも何も梅玉がやらなくてもなあ、という感じ。
並び大名が望外に御曹子がずらりで楽しい。
染五郎の将軍がご馳走。
しかしなんですね、この芝居って、「幡随院長兵衛」と「筆屋幸兵衛」をごっちゃにしたような話だなあ、なんて不謹慎なことを感じてしまった。
二、唐相撲(とうずもう)
日本人 菊五郎
通辞 團 蔵
皇后 梅 枝
官人 亀三郎
同 亀 寿
同 松 也
同 萬太郎
通辞夫人 萬次郎
皇帝 左團次
能の同タイトルの演目を歌舞伎に移したもので、初見。
なんというか、菊五郎劇団って、こういう馬鹿馬鹿しいだけの演目を大真面目にやって面白がらせる、すごいチームだな、というのを再認識。
正直言うと、せっかく菊五郎始め劇団の主立った顔ぶれが揃いながらこんなのやらなくても、とは思うのだが、観ている間は面白可笑しくて笑いの連続。ま、お堅い芝居だけが歌舞伎じゃないよ、ってことですね、はい。素直に楽しませていただきました。
萬次郎の中国語が本物だそうで、才人ぶりを発揮。あの声で中国語しゃべるとまるで京劇観てるみたいで可笑しかった。
梅枝の皇后が綺麗。国性爺合戦の錦祥女とか見てみたいな。
三、小さん金五郎(こさんきんごろう)
金屋橋の金五郎 梅 玉
芸妓額の小さん 時 蔵
太鼓持六ツ八実は木津屋六三郎 松 江
芸妓大村屋お糸 梅 枝
千草屋娘お崎 右 近
千草屋女房お縫 歌 江
奈良屋権左衛門 錦 吾
広瀬屋新十郎 團 蔵
女髪結お鶴 秀太郎
これもね、なんでこの顔ぶれで上方狂言やらなあかんの???という疑問符が頭に充満した演目。
話もそれほど面白くもないし、誰が主人公なのかもはっきりしないような、最後は、あ、そう、それで良いんですかあ?みたいな(苦笑)。
役者はみんなよく頑張ってるんですよ。秀太郎以外みんなお江戸の人なのに、慣れない上方言葉一生懸命マスターとまではいかなくても何とか聞けるレベルまではこなしてるし。でもこういう上方もののふわふわしたあほらしさで笑わせるまではいかないので、はっきり言ってつまらなかった。
秀太郎は孤軍奮闘で、お馬鹿だが可愛くて憎めない女をさすがに好演。
梅枝も時蔵も綺麗だし、梅玉もすっきりした二枚目ぶり。松江がつっころばし風の若旦那の味を懸命に。
う~、でもなんかみんなちょっとずつ違うんじゃない?というむずがゆさのような思いが最後まで残った。
ということで今月夜の部は不完全燃焼。
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