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2月文楽公演第二部 [舞台]

2月13日(月)

先週に続いて二回目。この日は二、三部通し。先週は一、二部観て、後半疲れてきてまさかの住さんで時々寝落ち。(いや、実を言うと、住さんで寝落ちすることはたまにある。テンポゆったりで気持ちいいんだもん。言い訳ですね、すいません)
今回はそんなことのないように。と思っていったら、席が見事に床下。ここで寝る勇気ありませんわ。

1202-2チラシ.JPG
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
    椎の木の段 芳穂・寛太郎、咲甫・清友
    小金吾討死の段 文字久・喜一朗
    すしやの段 住・錦糸、英・藤蔵、千歳・團七
勘十郎の権太、簑助のお里、紋壽の維盛、玉也の弥左衛門、玉志の小金吾、文昇の若葉の内侍

勘十郎の権太、前半は憎たらしい様子の小悪党、でも妻子には優しいところも見せる。母を騙してお金をせびるところのこすっからい可笑しさも上々。だがなんと言っても、最後手負いとなってからの述懐の場面。苦しい息の下での本心の打明が泣かせる。勘十郎さんの人形は、場面場面の心の動きに応じて見事に表情を変えていって圧巻。

簑助のお里が素晴らしい。可愛くていじらしくて健気。弥助と今夜は祝言、と浮き浮きする様子の若い娘らしい華やぎと恥じらい。邪魔にはいった権太に「兄さん、びびびびび~!」(文楽では台詞ないけどね)のところの可愛さと言ったらもう!そして、寝たふりしながら弥助実は維盛と若葉の内侍の会話を聞いて布団の中で肩を震わせる切なさ。そんな高位の人と知っていたら恋なんてしなかった、と言うクドキの哀れさ。ほんとに切なくて可哀想で涙がこぼれる。それでも維盛達を逃がそうとして、権太に取りすがる姿の健気さ。ここの権太に足蹴にされたところの姿勢の美しさは人形ならでは、簑助さんならでは。ほんとに素敵だった。

紋壽の維盛も、優男の弥助と維盛としての気品とがありさすがに上々。
玉也の弥左衛門に頑固で一徹な老人の風情。こういう役は玉也さんお得意。
玉志の小金吾が良かった。律義な若者らしい真っ直ぐな様子があり、討ち死にの場面では哀れさも。始めの椎の実を拾う場面で真面目にせっせと拾ってる様子が良かった。
文昇の若葉の内侍も品のあるすっきりした婦人の趣。

文字久と喜一朗が小金吾の最期を哀れさを持って聞かせた。

すしやの段は三人の大夫で。むむ。本来は一人、せめて二人でやってほしいところだが、大夫陣の高齢化で仕方なしか。しかも二番手の源大夫は休演となり英大夫代演。

後ではなく始めに住大夫というのもやや不満ではあったが、すし屋一家の家族それぞれの思いを悲喜こもごもに語り、特に弥左衛門と維盛の会話に哀調がこもるのがさすがに上手い。でもここまでだと、泣く場面じゃないんだよなあ。住さんだったら泣きたいのに(そこか?)

内侍若君の登場からは英で、先週はまだ藤蔵との息が合っていないようなのが気になったが、二週目とあってそれもほとんどなくなり、と言うか藤蔵の方が落ち着いてきたといった感じだが、維盛と内侍母子の再会、お里のクドキをじっくり聞かせ、三人が立ち退いた後空気が一変、権太が後を追う場面からの緊迫をよく聞かせた。

最後は千歳と團七で、権太の戻り、家族の悲痛と維盛の出家を力強く、また哀れさも聞かせて語りきった。近頃、ちょっと不調というか、こんな場面で千歳さん?と思うことも多かったのだが、久しぶりに本領発揮という感じで、千歳さんの力演を聴くことができてうれしかった。

お夏 清十郎 
 五十年忌歌念仏(ごじゅうねんきうたねぶつ)
    笠物狂の段  呂勢、相子他、宗助、清馗他
清十郎のお夏

初めて見たかも。
恋人の清十郎を追って気が狂ってしまったお夏を描く段。
清十郎のお夏は(ややこしいな)、可憐でいじらしいけど、狂おしさというものが感じられなかった。と言うか、正直言って狂ってるようには見えなかった。品が良く綺麗なのが清十郎さんの持ち味だから、こういうのは苦手かも。でもここは一段、壁を越えてほしいなあと思う。ファンとしてはちょっともどかしいのよ。

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