二月大歌舞伎・昼の部 [舞台]
2月12日(日) 新橋演舞場
中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露公演。久々にチケット売り切れが続出の盛況で、ロビーも華やいだ雰囲気が漂い、客席にも熱気が感じられる。
一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
鳴神上人 橋之助
所化白雲坊 亀 蔵
所化黒雲坊 男女蔵
雲の絶間姫 七之助
橋之助の鳴神は、前半の高潔さ、堕落してからの磊落さ、終盤での荒々しさと揃って充実。荒事にはやや線の細いイメージのある人だが、これは無理なく観られる。酒に酔ったあたりからのダメダメぶりも可笑しい。
七之助の雲の絶間姫も品良く美しく、可愛げもある。前半はしおらしく、鳴神を色仕掛けで落とすところは策女の色気で。鳴神が姫の懐に手を入れるシーンのエロイこと。「あはん」って感じでうっとりする七ちゃん、片手で上人の腕を上から押さえ、もう片方の手は感に堪えたようにだらんと落とす。いや~、危ないわ~。でもこの辺から急にくだけてきて、杯を交わすあたりではすっかりコメディタッチになってしまったのはやややり過ぎの感も。
二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)
僧智籌実は土蜘の精 勘太郎改め勘九郎
源頼光 三津五郎
侍女胡蝶 福 助
平井保昌 橋之助
渡辺綱 松 江
坂田公時 巳之助
碓井貞光 児太郎
ト部季武 国 生
太刀持音若 宜 生
巫子榊 芝 雀
番卒藤内 勘三郎
番卒次郎 仁左衛門
番卒太郎 吉右衛門
昼の部の襲名演目。新勘九郎の父も祖父もやっていない演目を持ってきたところに勘九郎の可能性の広がりを感じる。
花道の出から静かさの中に不気味さを秘め、正体を表す前から眼に暗い光が宿るよう。踊りでは常に重心が下にあって安定感抜群にもかかわらず、軽やか。見破られてからは凄味を見せて、引っ込みの際花道で袖を被って姿を隠す様子にゾクゾクする。いやあ、格好良かったよ。
後シテでは隈を取って荒々しく、糸を撒きながら豪快に。この時のメーク、眉がただ描くのではなくつけ眉毛というか、もさもさしてるのが見えてちょっと可愛かったりして。
凄味を見せながらも品が良い。新勘九郎らしい素晴らしい出来栄えだった。
間狂言が豪華。勘三郎に仁左衛門、吉右衛門が顔を合わせるなんて今まで観たことがないかも。他愛のない狂言だが、芝雀を含め新勘九郎の誕生を祝うおめでたさに溢れて何とも愉快。この顔ぶれで、今度はぜひ大芝居やっていただきたい。寺子屋とか、勧進帳とか、どうです?
三津五郎の頼光に品があり、橋之助の保昌も風格。福助の胡蝶は踊りは悪くないがメークがいまいち。
四天王には児太郎、国生と勘九郎の従弟が。国生ちゃん、ちょっと痩せたか?なかなか凛々しい様子。
天衣紛上野初花
三、河内山(こうちやま)
質見世より玄関先まで
河内山宗俊 仁左衛門
松江出雲守 勘太郎改め勘九郎
宮﨑数馬 錦之助
腰元浪路 隼 人
北村大膳 由次郎
高木小左衛門 東 蔵
後家おまき 秀太郎
和泉屋清兵衛 我 當
仁左衛門の河内山はスカッと爽快で気持ちいい。この人の台詞はほんとに爽やか。動きも世話に砕けた地の姿と、使僧に化けた澄ました様子の演じ分けなど自然におかしみを誘う。すっごく上手いのにわざとらしさがないのがこの人の凄いところ。
でも、この河内山はニンかというとやっぱり違う。河内山の胡散臭さ、強請たかりの強面が感じられない。清潔なんだ。この人はやっぱり坊主なら良弁の役者だと思う。
勘九郎の松江候が短気でわがままな馬鹿殿の風情があり上手い。今月唯一芝居らしい役だが、これも勘九郎の幅の広さを感じさせた。
しかし、襲名公演というと、魚宗の殿様とか、この松江侯とかに出るのがお決まりな気がするがなんでだろうね。
秀太郎我當と松嶋屋が揃う質屋も嬉しい。三兄弟の共演がこの頃減っていて寂しいが、もっとやって頂きたい。我當も膝が悪くて気の毒だが、まだまだお元気で芝居に出てほしい。来月は中村座にご出演とのこと、期待している。
錦之助の数馬は本役。
東蔵の高木はさすが幅の広い人らしくそつない感じで。
由次郎の大膳、私は好き。丈気高で卑屈な感じが上々。あまり大物がやる役でもなし。
中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露公演。久々にチケット売り切れが続出の盛況で、ロビーも華やいだ雰囲気が漂い、客席にも熱気が感じられる。
一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
鳴神上人 橋之助
所化白雲坊 亀 蔵
所化黒雲坊 男女蔵
雲の絶間姫 七之助
橋之助の鳴神は、前半の高潔さ、堕落してからの磊落さ、終盤での荒々しさと揃って充実。荒事にはやや線の細いイメージのある人だが、これは無理なく観られる。酒に酔ったあたりからのダメダメぶりも可笑しい。
七之助の雲の絶間姫も品良く美しく、可愛げもある。前半はしおらしく、鳴神を色仕掛けで落とすところは策女の色気で。鳴神が姫の懐に手を入れるシーンのエロイこと。「あはん」って感じでうっとりする七ちゃん、片手で上人の腕を上から押さえ、もう片方の手は感に堪えたようにだらんと落とす。いや~、危ないわ~。でもこの辺から急にくだけてきて、杯を交わすあたりではすっかりコメディタッチになってしまったのはやややり過ぎの感も。
二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)
僧智籌実は土蜘の精 勘太郎改め勘九郎
源頼光 三津五郎
侍女胡蝶 福 助
平井保昌 橋之助
渡辺綱 松 江
坂田公時 巳之助
碓井貞光 児太郎
ト部季武 国 生
太刀持音若 宜 生
巫子榊 芝 雀
番卒藤内 勘三郎
番卒次郎 仁左衛門
番卒太郎 吉右衛門
昼の部の襲名演目。新勘九郎の父も祖父もやっていない演目を持ってきたところに勘九郎の可能性の広がりを感じる。
花道の出から静かさの中に不気味さを秘め、正体を表す前から眼に暗い光が宿るよう。踊りでは常に重心が下にあって安定感抜群にもかかわらず、軽やか。見破られてからは凄味を見せて、引っ込みの際花道で袖を被って姿を隠す様子にゾクゾクする。いやあ、格好良かったよ。
後シテでは隈を取って荒々しく、糸を撒きながら豪快に。この時のメーク、眉がただ描くのではなくつけ眉毛というか、もさもさしてるのが見えてちょっと可愛かったりして。
凄味を見せながらも品が良い。新勘九郎らしい素晴らしい出来栄えだった。
間狂言が豪華。勘三郎に仁左衛門、吉右衛門が顔を合わせるなんて今まで観たことがないかも。他愛のない狂言だが、芝雀を含め新勘九郎の誕生を祝うおめでたさに溢れて何とも愉快。この顔ぶれで、今度はぜひ大芝居やっていただきたい。寺子屋とか、勧進帳とか、どうです?
三津五郎の頼光に品があり、橋之助の保昌も風格。福助の胡蝶は踊りは悪くないがメークがいまいち。
四天王には児太郎、国生と勘九郎の従弟が。国生ちゃん、ちょっと痩せたか?なかなか凛々しい様子。
天衣紛上野初花
三、河内山(こうちやま)
質見世より玄関先まで
河内山宗俊 仁左衛門
松江出雲守 勘太郎改め勘九郎
宮﨑数馬 錦之助
腰元浪路 隼 人
北村大膳 由次郎
高木小左衛門 東 蔵
後家おまき 秀太郎
和泉屋清兵衛 我 當
仁左衛門の河内山はスカッと爽快で気持ちいい。この人の台詞はほんとに爽やか。動きも世話に砕けた地の姿と、使僧に化けた澄ました様子の演じ分けなど自然におかしみを誘う。すっごく上手いのにわざとらしさがないのがこの人の凄いところ。
でも、この河内山はニンかというとやっぱり違う。河内山の胡散臭さ、強請たかりの強面が感じられない。清潔なんだ。この人はやっぱり坊主なら良弁の役者だと思う。
勘九郎の松江候が短気でわがままな馬鹿殿の風情があり上手い。今月唯一芝居らしい役だが、これも勘九郎の幅の広さを感じさせた。
しかし、襲名公演というと、魚宗の殿様とか、この松江侯とかに出るのがお決まりな気がするがなんでだろうね。
秀太郎我當と松嶋屋が揃う質屋も嬉しい。三兄弟の共演がこの頃減っていて寂しいが、もっとやって頂きたい。我當も膝が悪くて気の毒だが、まだまだお元気で芝居に出てほしい。来月は中村座にご出演とのこと、期待している。
錦之助の数馬は本役。
東蔵の高木はさすが幅の広い人らしくそつない感じで。
由次郎の大膳、私は好き。丈気高で卑屈な感じが上々。あまり大物がやる役でもなし。
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