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文楽巡業 [舞台]

10月10日(月) 神奈川県立青少年センター

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3連休最終日、大阪から移動して横浜に寄り、文楽公演を観る。会場の青少年センターは桜木町から歩いて約10分弱。このホールに入ったのは初めてだが、前にその裏手の能楽堂には来たことがある。
休日とあって、昼の部はほぼ満員。

昼の部
一・双蝶々曲輪日記 八幡里引窓の段
つばさ・喜一朗、呂勢・清治
勘十郎の十次兵衛、玉也の母、、簑助のお早、玉輝の濡髪長五郎

地方巡業で簑助と清治の人間国宝が顔を合わせる贅沢な一幕。
玉也の老後に情愛があり、実の息子と義理の息子の間で苦悩する哀れさがあって立派。
勘十郎の十次兵衛も律義で孝行者の爽やかさが見えて上手い。
簑助のお早はご馳走、元は傾城の色気を残しながら、心優しい嫁の雰囲気がぴったり。

つばさは、ややもすると説明口調になりかかるのが気になるところ。
呂勢が清治に引っ張られて健闘。なかなかに情のある語りを聴かせて泣かせてくれた。清治の三味線がさすがに起伏があって、胸を突く音色。ああ、清治さんの三味線をちゃんと聴けて嬉しいなあ。

二・新版歌祭文 野崎村の段
咲甫・清丈、三輪・宗助、咲・燕三
清十郎のおみつ、玉也の久作、一輔の久松、簑二郎のお染

この日歌舞伎女形の芝翫さんが亡くなった。おみつは芝翫さん得意のお役でもあり、この文楽の舞台を観ながら、例えばおみつがなますを作ろうと大根を刻むときに指を切るシーンなどでの芝翫さんの仕草の可愛らしかったことなど思い出してしまった。涙。。。

それはともかく。
清十郎のおみつは楚々とした可愛さ、健気さ、いじらしさなど十分で似合いの役。前半のお染に焼き餅を焼く様子の愛嬌、一転髪を下ろしてからの愁嘆、どちらもよく出て立派な舞台。
玉也の久作も本役、手に入った老け役で味わいを見せた。玉也さん、最近老け役が多くて気の毒な感じもするが、こういう役は本当に上手い。

義太夫も三組共に上々の出来。
咲甫・清丈が小助と久作のやりとりをテンポ良く語り、三輪がおみつの浮き浮きした様子を語って若々しく、最後は咲と燕三がじっくり締めた。まあ、燕三さんの豪快な三味線ファンには物足りない場面だったかも、だが。

今回は、おみつの母親が出てこない短縮版。歌舞伎ではこちらの方が普通のようだが、私はやはり母親が出てくる方が自然だし、また泣かされる場面でもあるので残念だった。

入れ替え時間はブログやtwitterで知り合った方々とお茶して過ごし、続けて夜の部へ。

夜の部
一・団子売
紋臣のお臼、一輔の杵造
南都、希、咲寿、清丈、寛太郎、清公

ここに来て連休の疲れが出てきて、かなり意識薄弱。すいません。。。

二・摂州合邦辻 合邦住家の段
睦・清馗、津駒・藤蔵、英・清介
勘十郎の玉手、玉志の合邦、簑二郎の女房、勘市の俊徳丸、簑紫郎の浅香姫、玉佳の奴入平

この巡業でいちばんのお目当て。勘十郎さんの玉手。文雀さんや簑助さんが得意とする女形最高の役の一つを勘十郎さんがどう使うか。期待は最大級。そしてそんな期待を絶対に裏切らないのがこの数年の勘十郎さん。美しく、情念深く、恐ろしくも哀れな玉手御前。前半の恋に狂った鬼気迫る様子の激しさ、後半手負いとなってからの悲痛、そして望み通りの死を迎えて微笑むように死んでいく崇高さ。。。うう、勘十郎さん、すごい凄いよ~。

玉志の合邦にも骨太な元は武士の風情があり、一方で娘への愛情も見せてなかなか立派。

津駒と源蔵が玉手と両親のやりとりを激しくも親子の情を感じさせて聞かせた。
英と清介も、玉手と俊徳、浅香との緊迫したやりとりを聞かせ、合邦が出てきてから最後までの怒濤の展開の場面で、厳しさと悲しさを感じさせて立派。清介さんの三味線が豪快で良かったなあ。

巡業とは思えないくらい充実した舞台を見せてもらえて大満足。遊びまくった3連休の最後に素晴らしいものが見聞きできて幸せ。


タグ:文楽
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