御園座 二月大歌舞伎・夜の部 [舞台]
2月14日(月)
昼の部が終わって外に出たら雪が降ってた。予報が当たったね~。帰りが心配になったけど、今やきもきしてもしょうがないので、とりあえず劇場向かいの喫茶店に避難して、名古屋名物小倉トーストをいただいてみました。
要するに、トーストにジャムのように餡がどっしり挟まっているという、名古屋人以外にはびっくりのものですが、食べてみると意外にいける(?)。まあ、トーストも、お餅も似たようなもんですから(違う?)。
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
木の実
小金吾討死
すし屋
いがみの権太 團十郎
お里 福 助
主馬小金吾 七之助
鮓屋弥左衛門 市 蔵
猪熊大之進 桂 三
若葉の内侍 芝のぶ
お米 右之助
小せん 東 蔵
梶原平三景時 左團次
弥助実は三位中将維盛 梅 玉
團十郎の権太は久しぶり。あんまりこういう世話物風な役の雰囲気じゃない人だが、「木の実」の場では小金吾に難癖を付けて金を騙り取る様子に凄味を見せ、「すし屋」では前半母親をだましてちゃっかり金をせしめるところにユーモラスさがあって笑わせる。
だが肝心の終盤、妻子を内侍と六代君に扮して梶原に突き出す当たりからの芝居がやや表面的で情が薄く、父親に刺されてからの述懐も悪くはないが泣かせるところまでは行かない。ここはもっとぐ~っと求心力を持ってほしいところ。仁左衛門や吉右衛門だと、縛られてる小せんに「面上げろい」と言うあたりから目が泣いていて、こっちも持って行かれるんだけどなあ。
そんなわけで、権太よりずっと芝居の核になったのが梅玉の維盛。弥助としてのお里とのやりとりではほんわかとした笑いを誘い、弥左衛門が戻ってきて「まず」と言われて正座に直った途端に殿上人の気品が匂い立つように現れるのがさすが。後半、帰ってきて梶原が残した陣羽織の意図に気づいて出家を決意する潔さ、周囲への恩義と情もあって、落人の悲しさも見せて立派な維盛。
お里は福助。一途に弥助を慕ういじらしさと可愛さがあり、いつもほど羽目も外さず、弥助が維盛と知って嘆く姿も哀れでなかなか上等。
小金吾は七之助で、凛々しい前髪姿の青年(少年?)武士姿。権太に金を盗られる口惜しさを見せ、討ち死にの場では颯爽とした立ち回りでの大奮闘と、主人に別れる悲痛を見せてなかなかの出来。
大抜擢という芝のぶちゃんの若葉の内侍、綺麗で品も良く、まずまず合格。
二、二人道成寺(ににんどうじょうじ)
白拍子花子 福 助
白拍子桜子 七之助
所化 男女蔵
所化 松 江
今回の御園座遠征、お目当ては昼の部の梅玉の与三郎と、夜の部のこれ。菊之助と玉三郎の二人では見たことがあるが、他の人では初めて。
時間の関係か道行はなく、冒頭の所化の「聞いたか」問答に続いて浅葱幕が落とされると、金冠をかぶった二人が現れる。菊玉がやったのとこれは同じ振り付けだろうか?ずいぶん印象が違う。あちらは二人がほとんど完全にシンクロ、あるいは鏡のように対称になってきっちりしていて、うっかりするとどっちがどっちかわからなくなるくらいだったが、こちらは同じ振りでも一瞬どちらかの手が遅かったり、あるいは二人が違う振りを踊るところもままある。それはもちろん、下手でちゃんと合わせられないからではなくて、意図的にそういう風に踊っているんだと思う。そして不思議なことに、そういうちょっとしたズレがあった方が、日本舞踊としては案外面白いのだ。菊玉のはあれはあれで「完璧!」という美しさを見せつけ、こちらはもうちょっと緩やかな良い意味で隙のある踊りというか。どっちが良いというのではなく、この七福のも存外に面白く見られた。
もちろん、福助も七之助も綺麗で見栄えは良い。福助の方は色気も十分でさすがに先輩の余裕を見せ、七之助は行儀は良いが色気不足。恋の執念や鐘への恨みが見えないのは、浅草で一人で踊ったときとさして成長がないのは残念。とは言え時分の花とでも言おうか、ただまだ6,7分咲きの初々しい花の美しさは見せつけた。
昼夜とも有名狂言が並んだ御園座公演、ある意味とっても歌舞伎らしい歌舞伎を今年やっと観られた感じで満足。
外に出たらもう道にも雪が積もっていて、地下鉄入り口へのわずかな距離も歩くのに難儀した。名古屋駅に着いたら案の定新幹線が遅れていて、予定より30分早い便に変えてもらって、東京に着いたらこちらももう降っていて、在来線のダイヤがぐちゃぐちゃ。どうなるかと思ったけど、どうにか日付が変わる直前に帰宅しました。さすがに日帰り遠征は疲れるわ。
昼の部が終わって外に出たら雪が降ってた。予報が当たったね~。帰りが心配になったけど、今やきもきしてもしょうがないので、とりあえず劇場向かいの喫茶店に避難して、名古屋名物小倉トーストをいただいてみました。
要するに、トーストにジャムのように餡がどっしり挟まっているという、名古屋人以外にはびっくりのものですが、食べてみると意外にいける(?)。まあ、トーストも、お餅も似たようなもんですから(違う?)。
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
木の実
小金吾討死
すし屋
いがみの権太 團十郎
お里 福 助
主馬小金吾 七之助
鮓屋弥左衛門 市 蔵
猪熊大之進 桂 三
若葉の内侍 芝のぶ
お米 右之助
小せん 東 蔵
梶原平三景時 左團次
弥助実は三位中将維盛 梅 玉
團十郎の権太は久しぶり。あんまりこういう世話物風な役の雰囲気じゃない人だが、「木の実」の場では小金吾に難癖を付けて金を騙り取る様子に凄味を見せ、「すし屋」では前半母親をだましてちゃっかり金をせしめるところにユーモラスさがあって笑わせる。
だが肝心の終盤、妻子を内侍と六代君に扮して梶原に突き出す当たりからの芝居がやや表面的で情が薄く、父親に刺されてからの述懐も悪くはないが泣かせるところまでは行かない。ここはもっとぐ~っと求心力を持ってほしいところ。仁左衛門や吉右衛門だと、縛られてる小せんに「面上げろい」と言うあたりから目が泣いていて、こっちも持って行かれるんだけどなあ。
そんなわけで、権太よりずっと芝居の核になったのが梅玉の維盛。弥助としてのお里とのやりとりではほんわかとした笑いを誘い、弥左衛門が戻ってきて「まず」と言われて正座に直った途端に殿上人の気品が匂い立つように現れるのがさすが。後半、帰ってきて梶原が残した陣羽織の意図に気づいて出家を決意する潔さ、周囲への恩義と情もあって、落人の悲しさも見せて立派な維盛。
お里は福助。一途に弥助を慕ういじらしさと可愛さがあり、いつもほど羽目も外さず、弥助が維盛と知って嘆く姿も哀れでなかなか上等。
小金吾は七之助で、凛々しい前髪姿の青年(少年?)武士姿。権太に金を盗られる口惜しさを見せ、討ち死にの場では颯爽とした立ち回りでの大奮闘と、主人に別れる悲痛を見せてなかなかの出来。
大抜擢という芝のぶちゃんの若葉の内侍、綺麗で品も良く、まずまず合格。
二、二人道成寺(ににんどうじょうじ)
白拍子花子 福 助
白拍子桜子 七之助
所化 男女蔵
所化 松 江
今回の御園座遠征、お目当ては昼の部の梅玉の与三郎と、夜の部のこれ。菊之助と玉三郎の二人では見たことがあるが、他の人では初めて。
時間の関係か道行はなく、冒頭の所化の「聞いたか」問答に続いて浅葱幕が落とされると、金冠をかぶった二人が現れる。菊玉がやったのとこれは同じ振り付けだろうか?ずいぶん印象が違う。あちらは二人がほとんど完全にシンクロ、あるいは鏡のように対称になってきっちりしていて、うっかりするとどっちがどっちかわからなくなるくらいだったが、こちらは同じ振りでも一瞬どちらかの手が遅かったり、あるいは二人が違う振りを踊るところもままある。それはもちろん、下手でちゃんと合わせられないからではなくて、意図的にそういう風に踊っているんだと思う。そして不思議なことに、そういうちょっとしたズレがあった方が、日本舞踊としては案外面白いのだ。菊玉のはあれはあれで「完璧!」という美しさを見せつけ、こちらはもうちょっと緩やかな良い意味で隙のある踊りというか。どっちが良いというのではなく、この七福のも存外に面白く見られた。
もちろん、福助も七之助も綺麗で見栄えは良い。福助の方は色気も十分でさすがに先輩の余裕を見せ、七之助は行儀は良いが色気不足。恋の執念や鐘への恨みが見えないのは、浅草で一人で踊ったときとさして成長がないのは残念。とは言え時分の花とでも言おうか、ただまだ6,7分咲きの初々しい花の美しさは見せつけた。
昼夜とも有名狂言が並んだ御園座公演、ある意味とっても歌舞伎らしい歌舞伎を今年やっと観られた感じで満足。
外に出たらもう道にも雪が積もっていて、地下鉄入り口へのわずかな距離も歩くのに難儀した。名古屋駅に着いたら案の定新幹線が遅れていて、予定より30分早い便に変えてもらって、東京に着いたらこちらももう降っていて、在来線のダイヤがぐちゃぐちゃ。どうなるかと思ったけど、どうにか日付が変わる直前に帰宅しました。さすがに日帰り遠征は疲れるわ。
mamiさま、
ホワイト・バレンタインは御園座でお過ごしでしたか☆日帰り&雪の中の遠征、お疲れ様でございました!
2月の御園座は富樫に維盛と、梅玉さん大活躍だったのですよね~。富樫の凛然とした強さと維盛の気品、想像するだけでうっとりです(笑)。
3月演舞場の兄弟対決@先代萩はぜひとも観に行きたいと思っています。(梅玉さん、八汐ですけど・・・>苦笑)
by ★とろりん★ (2011-02-21 16:13)
小倉トースト、私も、夫が名古屋勤務だった時に、おそるおそる食べてみたんです。「いくらなんでも・・・」と思ったのですが、ほんと、意外とおいしいですよね。
「あんぱん」だと思えばおいしくて当たり前なんですが、トーストだと違和感、というのも不思議。
食べ物のところだけ反応して、すみません〜(^^;
by palette (2011-02-21 21:10)
とろりんさん、
今月は梅玉さんほんとに大活躍で、それもどれも大当たりで素敵でしたよ!今更ながら惚れ直しました。
3月はお父様の追善狂言ですし、いつも以上に力の入った舞台を見せていただけると期待しています。
by mami (2011-02-22 00:26)
paletteさん、
そうそう、あんパンを思えばどうってことないんですが、なんか見慣れていないので、「え?」って感じですよね。でもほんとに意外と美味しくて、今度家でもやってみようかしら、と思っています。
by mami (2011-02-22 00:28)