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「江戸の粋・明治の技 柴田是真の漆絵」展 [美術]

2月2日 三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html
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出光美術館を出て丸の内方向へ向かい、遅いお昼をとった後日本橋へ。東京駅の八重洲側から「メトロリンク日本橋」という無料の巡回バスが出ていて、初めて利用してみた。歩けない距離じゃないけど、ちょっと疲れてたので。ただでこんなバスを運行してるなんて太っ腹だわ~。

私は今回初めてその名前も知ったが、柴田是真(ぜしん)(1807~1891)は幕末から明治期の漆芸家で画家。明治には皇室の帝室技芸員となり、また欧米での万博に出品して高い評価を得たそうで、その作品の多くが今は外国で所蔵されているとか。今回の展覧会もアメリカ人のエドソン・コレクションの里帰り。


漆といえば一般的には器や道具類に施されたのを思い浮かべるが、是真はそれにとどまらず、和紙に漆で絵を描く「漆絵」というジャンルを発展させている。これが何とも不思議な風合い。題材などは普通の日本画のようだが、タッチが全然違う。光沢があるので量感があって、油絵というかテンペラ画に近い感じかな。

蒔絵師としては、様々な漆の技法を極めた人で、特に青海波塗りという櫛状の道具を使った技法はやり直しがきかない精密な技で、見る角度で光って見えるそれはそれは細かいもの。チラシの重箱はそれが全面に施された溜息が出るような美しい作品。

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「蛇籠に千鳥角盆」これも青海波塗りを使ってある。金蒔絵の千鳥がとても可愛い。写真では大きさが解らないが、千鳥の線なんてほんとに細かい。

是真が面白いのは、その画家として蒔絵師としての超一流の技術を使って、「だまし絵」的な作品を制作しているところ。
板に描いた絵、と見せて実は木目まで筆で描いた紙に描いた絵だったり(これ、ほんとに感心しますよ)、古くなって釘で補修した箱、と思ったらその釘やひびまで描いたものだったり。
展覧会HPに詳しい解説が載っているが、絵だけでなく額の部分まで絵筆で描いたものなんて、もう笑っちゃいます。よっぽど洒落っ気とユーモアのセンスがあって、アイデアマンだったに違いない。きっと見る人が騙されるのを見て喜んでいたんだろうな。

是真といい、昨年見た七宝焼きの並河靖之といい、明治期に日本の工芸は頂点を迎えたのだろう。現在これだけのものを作れる人はいないと思うと、とても寂しい。

会期は2月7日まで。もうすぐ終わりなので、ぜひお見逃しなく。

出光美術館は空いていたが、こちらはテレビで紹介されたこともありまた会期末が近いせいか、平日にしては混んでいた。どちらも目を凝らしてみるような作品ばかりだったので、さすがに疲れたな~。


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コメント 2

yk2

初めまして、拙blogへのご訪問ありがとうございました。

是真展、決して派手ではありませんでしたが、しみじみ好いなぁ~と思わせてくれる素晴らしい展覧会でしたね。
是真といい、並河靖之といい、明治の素晴らしい工芸家たちの評価が、日本よりも海外発信ってところが、少々もどかしい気もしますが(^^;。

前の出光美術館のお話ですが、今なら抱一の梅が展示されているとのこと。嬉しい情報ありがとうございます。抱一大好きなので必ず観に行かなくちゃ。
by yk2 (2010-02-07 10:47) 

mami

yk2さん、こちらこそ、nice!&コメントありがとうございます。
是真展はほんとうに素晴らしくて、こんなすごい技法があったんだとびっくりしたくらいです。
仰るとおり、海外で評価の高い、日本国内では忘れられた芸術家がもっといるのかも、とか思ってしまいますね。

出光美術館の抱一の絵、良かったですよ。こちらもぜひご覧下さい。
by mami (2010-02-07 23:18) 

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