SSブログ

初春文楽公演・第二部 [舞台]

1月3日 続き

100103_1511~01.jpg

第一部を観た後、第二部の前に劇場近くの生玉神社に初詣。正式には生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)と言うようだが、大阪では「いくたまさん」で通じる。ちなみに神社やお寺に「さん」をつけて呼ぶのは関西だけらしい。八坂さん、とか清水さん、とか。東京で「湯島さん」なんて言わないよね。
そんなに大きな神社でもなく、例年それほど混んでいないのだが、今年は参拝の人で列が出来ていてびっくりした。やっぱり不況の時の神頼みですかねえ。第二部までに間に合うだろうか、と心配しながら約15分並んでなんとかお参り。おみくじを引く暇もなく、劇場にとって返す。

第二部は振る舞い酒目当ての人がいない分ちょっと人が減って、補助席はないようだったが、それでもほぼ満席。
入場の時にぽち袋を配っていた。お酒の代わりかしら、これは初めてかも。

一・伽羅先代萩
    竹の間の段 松香・咲甫・相子・文字栄・呂茂・希・靖、宗助
    御殿の段  住・錦糸、津駒・寛治
紋寿の政岡、玉也の八汐、勘彌の沖の井

歌舞伎でもおなじみの演目だが、いわゆる丸本物とは違って、歌舞伎の方が先に出来てそれを浄瑠璃化したものだそう。そのせいか、たいていの義太夫狂言は文楽で観る方が歌舞伎より面白く感じるのだが、これはいつも歌舞伎の方が良いように思う。一つには視覚的に動きが少ないことと、今ひとつは歌舞伎だと子役のがんばりにほろりと来るのが文楽だとそこがもう一つ、と言うことだろうか。

政岡は玉男さんや簑助さんが使ってきた大役。まさに満を持して、と言える紋寿の政岡は、動きの少ない中に大名の乳人の品格、意志の強さなどがあって立派。飯炊きの場面での慈愛と悲痛も見えて、力のこもった出来。
玉也の八汐はもう少し大きさがあっても良いか。

住大夫は「飯炊きの場」で、幼い千松と鶴喜代の健気な様子と、若君を案じ今の境遇を嘆く政岡の悲嘆をしみじみと聞かせてさすがに上等。でも最近は歌舞伎ではカットされることも多いこの場面、やっぱりちょっとしんどくて時々うつらうつらしてしまった。ああもったいない。

奥は津駒と寛治で、緊迫した場面を気迫ある語りで聞かせ、千松の遺体に取りすがって嘆く政岡の悲しみを切々と訴えて立派な出来。

今回は続く「床下の場」がないためか、鼠は登場せず。今回だけでなく、文楽で「床下」は観たこと無いなあ。花道ないのに仁木の引っ込みもできないからかしら。

二・お夏・清十郎 寿連理の松
    湊町の段 嶋・清友
和生のお梅、玉女の清十郎、勘十郎の親佐治兵衛、簑二郎のお夏

「お夏清十郎」ってよく聞くけど、実際に狂言で観たのは初めてなので、へえこういう話?とちょっと唖然な展開(笑)。実家に返された清十郎には許婚のお梅がいて、と言う設定は「新版歌祭文」によく似ているが、最後はみんなうまくいってお夏と清十郎は晴れて夫婦に、お梅は妾分に(と言うのが凄い)、とハッピーエンド(?)。親父の台詞に「始から段切りまで、一人も死なぬはなんと目出度い」とシャンシャン手打ちまでしちゃうおめでたさ。まあ、現代感覚から言うと、健気に身を引いて犠牲にしようとしたお梅が妾って、お梅ちゃんそれで良いのか?、という気もするが(苦笑)。

そういう話なので、お夏よりお梅の方が主役級で、今回は和生が遣う。いじらしさ、健気さのある町娘の様子があって上々。
嶋大夫が数多い登場人物をしっかり語り分けながら、それぞれの思い、悲しみ、後悔などをじっくり語ってさすがに聴き応えがあった。

三・日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)
   渡し場の段
英・津國、芳穂・呂茂・靖、團七・清志郎・龍爾・清公
清十郎の清姫、幸助の船頭

昨年だったか、前段の庄司館からの上演を観た。この渡し場の段は歌舞伎でも時々上演される。
安珍を追って岸辺に来た清姫の、なんとか川を渡りたいという必死の思いを英大夫が大きく聞かせ、後半嘆きが怒りと恨みに変わって後は景事らしく大勢で派手に盛り上げる。
清十郎は前半では一途に恋する清姫のいじらしさを見せ、後半は蛇体となって川を渡る姫の姿を激しい動きで魅せた。これって、時々蛇体と普通の姿を瞬時に持ち替えながら、泳いでいく様子を見せるから人形遣いは三人ともとっても大変。清十郎さん、汗かいてましたねえ。お疲れさま。

100103a.JPG
おまけ。1階の展示室で人形を持たせてもらいました。初めて~。これは一人遣いのツメ人形というもの。左手で首を持って右手を袂に通して遣います。ちゃんと首が動かせます。こんな風に手がにゅっと出てはいけません(笑)。
nice!(3)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 3

コメント 4

palette

いい体験をしましたねー、お人形持たせてもらって!
重いものなんですか?案外軽いのかしら?
女の、日本髪のお人形なんて、重そうに見えますね。




by palette (2010-01-08 21:20) 

リュカ

確かに東京では「湯島さん」とか言わないですね^^
なるほど、関西の文化なのですね。

人形持たせて貰ってる!!
羨ましいです(^▽^)
by リュカ (2010-01-08 21:57) 

mami

paletteさん、こんばんは。
この人形は頭も小さいし、胴も手足も付いていないので軽いんです。(その他大勢用の人形ですね)
でもちゃんとした人形はもちろんずっと重くて、中には8キロくらいあるのもあるそうです!
女形より、男の武将などで鎧兜など一式着けたのが重いらしいですよ。
それを実質片手で支えて動かすんだから、人形遣いさんって凄い体力がいるんですよね~。
なのに70代、80代になっても現役で遣ってる方がいらっしゃるんだから、もう出てこられるだけで鳥肌ものです。

by mami (2010-01-09 00:25) 

mami

リュカさん、こんばんは。
やっぱり京都や大坂は歴史が古い分神社やお寺が身近だったんでしょうか?「さん」付けで呼ぶと親しげで良いですよね。

展示室の体験コーナーみたいなところに説明してくれるボランティアの人がいて、「持ってみますか?」と言って持たせてくれました。なかなか実際に触れる機会は少ないのでうれしかったです~。
by mami (2010-01-09 00:33) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。