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南座5月花形歌舞伎 [舞台]

5月4日 昼の部

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通し狂言 小笠原騒動
橋之助の犬神兵部・岡田良助、愛之助の小笠原隼人・奴菊平、勘太郎の小笠原豊前守・小平次、七之助のお大の方・お早、壱太郎の小萩・林数馬、萬次郎のおかの・小笠原遠江守、吉弥のお浦

わざわざ遠征してまでは観に行かないけど、せっかく大阪にいるときにやってるんだから見ておこうかな、と思って南座まで。去年12月の顔見世以来。

(ネタばれあり。これから初めて観られる方はお気をつけ下さい)

10年前にも橋之助らで上演された作品だそうだが、その時は見逃していてこれが初見。
お家騒動に題材を取った狂言で、狐の恩返しや本水を使った立ち回りをはじめ、なんかどこかで見たことあるような場面が随所に散りばめられていて、あまり肩の凝らない娯楽作品と言った趣か。


座頭の橋之助は悪役の兵部とその手下となりながら改心する足軽良助の二役で、文字通り大車輪の働き。良助では小平次との格闘で屋根から落ちたり、ずぶ濡れになって水車につかまって回ったりし、兵部では大詰めで四天を相手に梯子も使った大立ち回りを見せる。(この大詰めの化粧や衣装が仁木みたい。)ほんとご苦労様。
もちろん立ち回りだけではなく、兵部では敵役らしい憎々しさがあり、良助では小悪党の足軽の軽妙さ、さらに家族を一度に失う悲痛さを見せた。
しかし、橋之助を花形と呼ぶのはもうちょっとつらい気もするが…(苦笑)。

愛之助がことをわきまえた武士の颯爽とした様子が似合いの役で、また狐の化身の奴菊平としての立ち回りで面白さを見せた。ここはまるで「四の切」。狐の白い毛の衣装になったとき、鬘がまるで金髪みたいな色(狐色?)で驚いた。狐らしく見せたいんだろうけど、あそこは源九郎狐と同じく普通に黒い髪で良いんじゃないかなあ。むしろ仕草などもう少し狐を強調しても、という気もした。
また、狐が隼人を迎えに来たとき、供の行列の者達が顔を上げると狐の面を被っていたのが面白かった。

勘太郎が癇癪持ちで女の言いなりの馬鹿殿の役と、飛脚の小平次。殿様の方でもう少しだめっぷりを見せた方がいいかも。小平次はこの人の本役で、活きの良いところを見せ、良助との立ち回りも奮闘。本水を使ってかなり派手にやっていて、客席前列にはビニールシートが配られていた模様。良助と水を掛け合ったり、口から水を吹き出したりとサービス満点で沸かせていた。

七之助も二役。愛妾お大の方は兵部と組んでお家乗っ取りをたくらむ悪女。自分の出自を知る養父を平気で手に掛ける冷酷さをクールな無表情さと美しさで見せてなかなか。一転、隼人の召使いお早では、律儀な女房の風情をきちんと見せ、無惨に殺される哀れさもしっかり。後はもう少し色気がほしいところ。

萬次郎が分家の殿の威厳と、世話女房のかいがいしさを見せてさすがに立派。
壱太郎が隼人の妹で可憐、遠江守の家来で凛々しいお小姓ぶりを見せた。もう子役は完全に卒業ね。
吉弥も手に入った老母の役で脇を固めた。

全体に出演している人数も少な目で、こぢんまりした舞台だが、主演4人の意気込みがよく感じられて、気持ちよく見ることができた。

タグ:南座 歌舞伎
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コメント 2

とみた

mamiさん、こんにちは。
土曜日に遠征して来ました。私もこの演目は初見です。猿之助の歌舞伎はよく観てたのに、私が歌舞伎を見るようになってからはやってないんです。
梯子乗りとか本水を使った立ち回りとか、お約束の最後の立ち回りとかが懐かしくて楽しかったです。
子役の場面と、橋之助と勘太郎が大根とにんじんを持って喧嘩するのは目新しかったです。
個人的に一番の眼福は勘太郎が橋之助を追って花道を引っ込むところ。あの足の動きが勘太郎ならではで、桟敷席をとった甲斐がありました。
by とみた (2009-05-11 00:57) 

mami

とみたさん、こんばんは。お久しぶりです~。
なかなかよくまとまっていて、楽しい作品になっていましたね。
大根と人参は、舞台装置を見た瞬間、あれを使ってやるだろうな、と思いました(笑)。
勘太郎はほんとに切れの良い動きをしますよね。私は3階だったので花道はあまりよく見えなくて残念でしたが、三津五郎にしてもやっぱり踊りの上手い人は立ち回りも良いなあ、と感心しました。これからますます楽しみですね。
by mami (2009-05-11 18:34) 

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