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「阿修羅」展 [美術]

4月21日
東京国立博物館
http://www.asahi.com/ashura/index.html
ashura.JPG
午後3時半頃入館。平日でお天気も良くなかったせいか、待ち時間無しで入れて、中もそれほど混雑していなくてラッキー。

奈良の興福寺には行ったことがあるし、この阿修羅像を初めとする彫像も見たことはあるはずだが、あまりよく覚えていない。興福寺と言えば五重塔の印象の方が強くて。
この展覧会は、その興福寺の中金堂の再建事業に合わせて開催されるもので、創建時に埋納された鎮壇具(地鎮の為に埋められた玉など)も展示、また今は仮金堂に安置されていて中金堂再建後はそちらに移される予定の仏像なども見ることができる。

最初のコーナーは鎮壇具で、銀の器や玉、水晶玉など。特に色とりどりの玉は美しく、研磨の技術の高さも目を引くもの。

次がメインの国宝、八部衆像と十大弟子像。残念ながら全部揃っての展示期間は終わっていたが、ガラス越しでなく、360度ぐるりと見ることができるのはこういう展覧会ならでは。
どれも木彫ではなく脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)と言う手の込んだ作り方。詳しくはよく解らないが、木像の上に布をかぶせてその上に漆を何重にも塗り重ねたもの、らしい。それで木像よりも柔らかい表現ができるのかな。

見た目は、十大弟子より八部衆の方がバラエティに富んでいて面白い。鳥の頭をした迦楼羅(かるら)とか、頭に獅子を被っている乾闥婆(けんだつば)とか。

サカラ.JPG
中でもお気に入りはこの沙羯羅(さから)。まるでがんぜない少年のようなあどけない表情。解説によれば「水中の龍宮に住み、雨を呼ぶ魔力を持つ。釈迦誕生の時に清浄水をそそいで祝った。頭上には蛇を戴く。」とのこと。なんで蛇?と言う疑問はともかく、部屋に飾るなら、阿修羅より私はこちらの方がいいな。こんな真っ直ぐな瞳で見つめられたら「そんなことじゃダメでしょう」と言われてるようで、ちょっと背筋を伸ばさなくっちゃという気になるかも(苦笑)。

阿修羅像も八部衆の一つなのだが、これだけ特別扱いで、専用のコーナーをつくって展示。まずスロープを上がっていって、阿修羅像を正面から見下ろす形でご対面。その後下に降りて、周りをぐるっと回って鑑賞する形。幸い、それほど混み混みでなかったので、上からも下からもじっくり観察できた。

造形的に見ると、顔はともかく、あの腕はちょっといただけない、と言うのが正直なところ。「取って付けたような」というのがまさにピッタリくる、あのあまりにも直線的な腕の形は、その他の部分に比べて稚拙とさえ思えるほどで、後から付けたんじゃないのか、とさえ感じてしまう。(罰当たりな言い方ですみません)

お顔は三面。いずれも少年のような、少し眉をひそめた憂いのある表情。菩薩や観音などの仏様のように悟りを開いたゆったりしたお顔でもなければ、明王のような威嚇するような怖い顔でもない。何とも人間のようででもやっぱり人間ではないという、とても不思議な、哀しげで優しげで、見れば見るほど引き込まれるお顔。
三面のうち、私は右側のお顔が好き。正面のよりちょっと厳しい表情。でもこの顔を真っ正面から見ようとすると、上にあげた腕が邪魔をするのがジレンマ(苦笑)。そしてそうして右側から見たときの、正面の顔の横顔がとても美しい。これからご覧になる方は、ぜひチェックしてみて下さいね。
あしゅら2.JPG
これよりもう少し右からの角度がよかったのだけど、絵葉書ではなかったのでこれで我慢。

いつまでも観ていたいけど、そうもいかないので次に行くと、まず四天王像が並ぶ。どれもいかめしい顔つきだが、足元に踏みつけられてる邪鬼が何ともユニーク。四天王には邪鬼が付き物で、実はこの邪鬼を観るのが四天王の楽しみだったりする。

そしてかなり大きな薬王・薬上菩薩像、運慶作と考えられる釈迦如来像頭部 なども拝見。
最後のコーナーでは、ヴァーチャルリアリティ映像で、再建される中金堂、阿修羅像の詳細などを観ることができるが、どうせなら作られた当初の阿修羅像の色彩などを見せてほしかった。

一回りしたら5時過ぎで、第1会場の方をのぞいたらぐっと人が減っていたので、せっかくなのでもう一度阿修羅像を観に行った。さっきよりさらにゆっくりじっくり観ることができて幸せ。
これから行かれる方は、できれば平日の夕方がお薦めかもしれません。
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palette

一昨年の秋、興福寺で阿修羅像を見て、大変感銘を受けました。
今回の展示は、横顔や後ろからの顔も見られるというのが「売り」だったみたいですね。見たかったなあ。行列しないで見られるようになったら行こうかなと思っているうちに、日本を離れることになってしまいました。
右側の顔、確かにきりりとしてますね^^
by palette (2009-04-27 21:05) 

mami

paletteさん、こんばんは。
こういう仏像などを暗いお寺のお堂から離れた博物館で観るというのは、よ~く見られてありがたい気がする一方で、仏様を信仰ではなく鑑賞の対象として見ることにちょっと申し訳なさも感じてしまうのです。こんな、お経も聞こえずお線香の香りもしないところに仏様を置いて良いのかしら、ってね。

展覧会は6/7までやっていますので、お帰りが間に合うようならぜひ足を運んで下さいね。
by mami (2009-04-27 23:23) 

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