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八月納涼大歌舞伎・第一部 [舞台]

8月13日 歌舞伎座

一・女暫
福助の巴御前、三津五郎の手塚太郎、勘太郎の轟坊震斎、七之助の女鯰若菜実は樋口妹若菜、勘三郎の舞台番

毎年勘三郎を中心に、若手を積極的に起用して実験的な作品も多い8月の納涼歌舞伎。今年の演目の中では、これがいちばん古典的な作品と言えるだろうか。去年の團菊祭で萬次郎らで上演されたのを見ている。
とは言え、福助をはじめ初役がほとんど(だと思う)という意味ではやはり挑戦の舞台だろう。

福助は、花道でのつらねなど、声を張り上げようとすると割れてしまう嫌いがあり、いささか聴きづらい部分もあったのは残念だが、さすがに華があり堂々とした様子なのは、去年の萬次郎と違い普段から舞台真ん中に立ち慣れているからか。なかなか立派な女武者ぶり。
ただいったん幕が引かれてからの舞台番とのやり取りや引っ込みの際、妙にしなを作るのはこの人の悪い癖が出たか。愛嬌をみせても品が悪くなっては台無し。

勘太郎が軽妙さを見せつつ大きさもあり上々の出来。
七之助もかわいげと凛とした様子があり、出色。去年の菊之助より良かったような気がする。
手塚太郎に三津五郎クラスの役者が出るのは初めてだったが、前髪の少年役に無理がないのは驚き。
勘三郎の舞台番は手に入った雰囲気だが、おちゃらけすれすれだった。後半にかけてエスカレートしなければいいが。

二・三人連獅子
橋之助の親獅子、扇雀の母獅子、国生の子獅子
上方の楳茂都流の振り付けという珍しい演目。
普通の連獅子だと前シテでは狂言師親子という設定だが、今回のは何だろう(例によって番付を買っていないのでわからない)、ヤマトタケルとか聖徳太子みたいな古代王朝風の衣装。振り付けも割合ゆったりした感じなので、かなり睡魔に襲われてしまった。
国生は久しぶりに見たような気がするが、すっかりお顔も体つきも丸くなっていてびっくり(苦笑)。毎日踊りのお稽古をしてたらこんな体型にはならんだろう、と思うけど。それでも何とかお父さんについていっていたのは感心。最後の毛振りではむしろ扇雀が一人遅れていた。ううむ。お母さん、頑張って。

三・らくだ
三津五郎の半次、勘三郎の久六、亀蔵の馬太郎、彌十郎の家主女房、市蔵の家主、松也の半次妹おやす
勘三郎と三津五郎が息のあったところを見せる、肩の凝らない楽しい一幕。
三津五郎がいかにも江戸の遊び人というカラッとした風情を見せる。この人は本当にここ数年役の幅が広くなったと思う。こういう雰囲気は前は菊五郎の独壇場だったが、三津五郎も十分伍していけるのではないか、と思わせる出来。

勘三郎も持ち前のサービス精神を十分に発揮して、初めはおどおどした様子だったのが、酒が入ると性格が一変する様子を面白可笑しく見せた。こういう役は安心して見ていられる。

亀蔵の馬太郎が傑作。台詞もないし、動きだって自分で動いているわけではない(ことになっている)のに、滅茶苦茶可笑しい。死体の役でこんなに抱腹絶倒させられる役者も他にいないだろう。
彌十郎と市蔵の家主夫婦も文字通り体当たりで笑いを取っていた。
おやすが出てくる場面は必要とは思えない。松也は悪くなかったが、話の筋にまったく無関係。
タグ:歌舞伎
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愛染かつら

こんにちは、mamiさん。

国生クンはマジでダイエットした方がいいですよねぇ。
最初肉襦袢付けているのかと思っちゃいましたもん(笑)。

「らくだ」での亀蔵さんはもちろん、彌十郎さんのおかみさんも面白かったですね。
夏はこういう演目がいいです。

by 愛染かつら (2008-08-20 14:21) 

mami

愛染かつらさん、こんばんは。
国生ちゃん、踊りは行儀良かったのでこのまますくすく育っていただきたいです。頑張ってお稽古すればスリムになるかな?

「らくだ」の彌十郎さん、珍しい女形でしたが、ほんとに可笑しかったですね。
第一部は楽しめる演目が揃って良かったと思います。
by mami (2008-08-21 00:01) 

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