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コロー展 [美術]

7月1日
国立西洋美術館
http://www.corot2008.jp/index.html

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「コロー 光と追憶の変奏曲」と銘打った展覧会。
意外にもコローを中心とした展覧会は珍しいとか。そう言われてみれば、フランス絵画の展覧会で必ずと言っていいほど1枚や2枚は展示されておなじみだけれど、「コロー展」というのは記憶にないかも。
今回はほぼ時系列に、コローの画業の全体像に迫る画期的な展覧会。

普段オーディオガイドはあまり借りないのだが、会場入り口で見るとなんとナレーターが吉右衛門様だった。チラシにもHPにも書いてなかったので、ちょっとびっくりしたが、迷わず借りることに(ただのミーハーです)。自身絵筆をとる吉右衛門、コローに共感するところもあるのだろうか。ゆっくりと落ち着いたお声のナレーションを聴くことができて、ちょっと幸せ気分。

コローと言えば誰でも思い浮かぶのは、灰色がかった緑色の木々を描いた風景画だろう。
だがもちろん最初からそう言う絵を描いていたわけではなく、若い頃イタリアに遊学した頃はプッサンやロランを思わせる、明るい色調の絵も描いている。

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「ヴィル=タブレーのカバスュ邸」
父親の別荘があったヴィル=タブレーで描かれた多くの絵の一つ。左右の樹の描き方は既に後年の特徴が出始めているが、中央の明るい道や空の表現が新鮮。

この展覧会の特徴は、人物画が多数展示されていること。実はコローの肖像画なんて見たことがなかったので、風景画の中に点景として描かれているのしか知らず、てっきりコローは人物は苦手か嫌いなのだと思っていた(恥)。
実際、依頼されて描いた肖像画は1点もないとかで、全て身近な人をモデルとしたらしい、親密な雰囲気の絵ばかり。
その中でも代表作とされるのがチラシの「真珠の女」で、”コローのモナリザ”とも呼ばれているらしい。確かに手のポーズや色調がそんな感じ。コローが死ぬまで手元に置いて手を入れていたという。「真珠」というのは実は間違いで、コローの死後発表されたときに額の葉の髪飾りを見間違えて付けられた題だとか。真珠と言えばフェルメールの少女の絵があまりにも有名だが、こちらも負けず劣らず清楚な輝きを見せる。

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こちらは「マンドリンを手に夢想する女」
私はこっちの方が好き。女、と言ってもまだ少女の面影を残す初々しさが窺われる。
どちらも、人物画が苦手どころが、高い力量を示す。後年のマネやドガにつながっていく感じがした。

晩年にかけて、実際の風景をありのままに描くのではなく、スケッチをアトリエで再構成して「~の想い出」と題した絵を描くようになった。

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その代表作がこれ「モルトフォンテーヌの想い出」。
まるで夢の中の一場面のような詩情あふれた美しい絵。やっぱりコローと言えばこういう感じ。

コローは家が裕福だったこともあり、周りに集まった画家達の面倒もよく見たという。
そんなコローの絵に影響を受けたドランやモネ、ルノワールらの絵も同時に見せてくれる貴重な機会。
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palette

こんにちは!
美術館の音声案内、思いがけない人の声だったりして、楽しいですよね。美術館側は、あまり宣伝はしないみたいですけど。コロー、素敵ですね。早くみに行かなくちゃ!
by palette (2008-07-04 07:15) 

mami

paletteさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。

最近の音声案内のナレーターは有名な俳優さんなどがよくやられてますね。へえ、こんな人が、と驚くことがあります。
今回の吉右衛門さんは、まったく知らずに行ったのでうれしい驚きでした!

コロー展、なかなか充実していてよかったですよ。私が行ったのは平日でしたが、それでもそこそこ混んでいました。お早めにご覧になって下さいね。
by mami (2008-07-04 23:35) 

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