二月大歌舞伎 [舞台]
2月11日(月) 日生劇場
去年8月に大怪我をして休養していた染五郎の復帰の舞台。
最初に父である幸四郎の口上が付き、心配をかけたことへのわびと感謝を述べた。
一、義経千本桜 吉野山(よしのやま)
佐藤忠信実は源九郎狐 市川染五郎
逸見藤太 中村亀 鶴
静御前 中村福 助
花道すっぽんから染五郎が現れたのを見て、頭ではわかっていたのに、「ああ、ほんとに復帰できたんだなあ」と思ったら思いがけず涙がにじんでしまった。
勘三郎さんに團十郎さんと、立て続けに訃報が続いた歌舞伎界。その後だけに、元気な姿を見せてくれたことがことのほか嬉しかった。幸い後遺症などの心配もないそうで、ほんとうにすっかり元気そう。
その上、なんだか二枚目ぶりが増したんじゃないかと思うくらい美しかった。狐にはもったいないくらい(笑)。品があって、すっきり颯爽とした忠信。個人的な好みとしては、ここの忠信はもうちょっと愛嬌あるのが好きだけど(特に狐の本性をのぞかせるところとか)、今回は、いいよもう、染ちゃんが踊ってるだけで、と言う気分。
福助の静との女雛男雛のポーズが絵のように美しく、戦物語はすっきり。最後花道の引っ込みでは、藤太への笠投げも見事にストライク!鼓の音につい狐と顕しそうになりながら、「おっと、いけない」となるところに愛嬌を見せた。
福助の静もおっとりと品の良い様子。
亀鶴の藤太も、あまり砕けすぎず行儀良い様子。
河竹黙阿弥歿後百二十年 河竹黙阿弥作
二、通し狂言新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)
〈弁天堂・お蔦部屋・お蔦殺し〉
愛妾お蔦 中村福 助
磯部主計之助 市川染五郎
召使おなぎ 市川高麗蔵
小姓梅次 中村児太郎
岩上典蔵 大谷桂 三
浦戸紋三郎 大谷友右衛門
浦戸十左衛門 市川左團次
〈魚屋宗五郎〉
魚屋宗五郎 松本幸四郎
宗五郎女房おはま 中村福 助
召使おなぎ 市川高麗蔵
小奴三吉 中村亀 鶴
鳶芳松 大谷廣太郎
酒屋丁稚与吉 松本金太郎(夜の部)
父親太兵衛 松本錦 吾
岩上典蔵 大谷桂 三
磯部主計之助 市川染五郎
浦戸十左衛門 市川左團次
大抵、後半の魚宗のみの上演だが、今回はそこまでの経緯となるお蔦殺しが付いた通しの上演。筋が通ってわかりやすくなるのと、殿様と宗五郎、二人が酒乱という対比が生きてくる。
前半、福助のお蔦は品良く、おっとりとした愛妾らしい様子で、手討ちにされる場面での哀れさがよく出た。
染五郎の主計之助が、酒が回ると冷え冷えとしていく心証をよく出し、目をかけていたものに裏切られたと思い込んだ男の冷酷さが見えた。美しい人が怖い役するとゾッとするね。
桂三が薄っぺらい悪人の風情。
児太郎は台詞はまだまだだがだいぶ女形が板に付いてきて、小姓姿が可愛かった。
幸四郎の宗五郎は、酒を飲む前のきっちりした感じと、飲んだ後の対比が上手く出る。飲み始めたら、やけに楽しげ。磯部邸に押しかけた後も、妹を殺された恨みを言いながらも暗さがない。この役として良いかどうかは別として、さっぱりと後味は良い。
前にやった時はこうではなかったような。幸四郎さん、やっぱり染ちゃんとまた舞台に立てた喜びが溢れて出てしまった感じ。見ているこっちまで嬉しくなるような。ほんとは、お蔦のことを考えると、良かった良かったと言える芝居ではないんだけど、今回ばかりはまあいいじゃない、って気になってしまった。
福助のおはまは、やけに伝法になったり、かと思うときちんとなったりして口調が安定しない。おはまは下町のおかみさんだけど、堅気の女房なんだからそんなに伝法になってはおかしいと思うが。なんでこの人って、ごく普通の役が出来ないんだろう。
高麗蔵のおなぎが行儀良く、武家勤めの女の風情。
亀鶴の三吉が軽快。
左團次の家老がさすがの貫禄と懐深い情を見せた。
夜の部だけ、金太郎ちゃんが酒屋の丁稚。可愛い!
去年8月に大怪我をして休養していた染五郎の復帰の舞台。
最初に父である幸四郎の口上が付き、心配をかけたことへのわびと感謝を述べた。
一、義経千本桜 吉野山(よしのやま)
佐藤忠信実は源九郎狐 市川染五郎
逸見藤太 中村亀 鶴
静御前 中村福 助
花道すっぽんから染五郎が現れたのを見て、頭ではわかっていたのに、「ああ、ほんとに復帰できたんだなあ」と思ったら思いがけず涙がにじんでしまった。
勘三郎さんに團十郎さんと、立て続けに訃報が続いた歌舞伎界。その後だけに、元気な姿を見せてくれたことがことのほか嬉しかった。幸い後遺症などの心配もないそうで、ほんとうにすっかり元気そう。
その上、なんだか二枚目ぶりが増したんじゃないかと思うくらい美しかった。狐にはもったいないくらい(笑)。品があって、すっきり颯爽とした忠信。個人的な好みとしては、ここの忠信はもうちょっと愛嬌あるのが好きだけど(特に狐の本性をのぞかせるところとか)、今回は、いいよもう、染ちゃんが踊ってるだけで、と言う気分。
福助の静との女雛男雛のポーズが絵のように美しく、戦物語はすっきり。最後花道の引っ込みでは、藤太への笠投げも見事にストライク!鼓の音につい狐と顕しそうになりながら、「おっと、いけない」となるところに愛嬌を見せた。
福助の静もおっとりと品の良い様子。
亀鶴の藤太も、あまり砕けすぎず行儀良い様子。
河竹黙阿弥歿後百二十年 河竹黙阿弥作
二、通し狂言新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)
〈弁天堂・お蔦部屋・お蔦殺し〉
愛妾お蔦 中村福 助
磯部主計之助 市川染五郎
召使おなぎ 市川高麗蔵
小姓梅次 中村児太郎
岩上典蔵 大谷桂 三
浦戸紋三郎 大谷友右衛門
浦戸十左衛門 市川左團次
〈魚屋宗五郎〉
魚屋宗五郎 松本幸四郎
宗五郎女房おはま 中村福 助
召使おなぎ 市川高麗蔵
小奴三吉 中村亀 鶴
鳶芳松 大谷廣太郎
酒屋丁稚与吉 松本金太郎(夜の部)
父親太兵衛 松本錦 吾
岩上典蔵 大谷桂 三
磯部主計之助 市川染五郎
浦戸十左衛門 市川左團次
大抵、後半の魚宗のみの上演だが、今回はそこまでの経緯となるお蔦殺しが付いた通しの上演。筋が通ってわかりやすくなるのと、殿様と宗五郎、二人が酒乱という対比が生きてくる。
前半、福助のお蔦は品良く、おっとりとした愛妾らしい様子で、手討ちにされる場面での哀れさがよく出た。
染五郎の主計之助が、酒が回ると冷え冷えとしていく心証をよく出し、目をかけていたものに裏切られたと思い込んだ男の冷酷さが見えた。美しい人が怖い役するとゾッとするね。
桂三が薄っぺらい悪人の風情。
児太郎は台詞はまだまだだがだいぶ女形が板に付いてきて、小姓姿が可愛かった。
幸四郎の宗五郎は、酒を飲む前のきっちりした感じと、飲んだ後の対比が上手く出る。飲み始めたら、やけに楽しげ。磯部邸に押しかけた後も、妹を殺された恨みを言いながらも暗さがない。この役として良いかどうかは別として、さっぱりと後味は良い。
前にやった時はこうではなかったような。幸四郎さん、やっぱり染ちゃんとまた舞台に立てた喜びが溢れて出てしまった感じ。見ているこっちまで嬉しくなるような。ほんとは、お蔦のことを考えると、良かった良かったと言える芝居ではないんだけど、今回ばかりはまあいいじゃない、って気になってしまった。
福助のおはまは、やけに伝法になったり、かと思うときちんとなったりして口調が安定しない。おはまは下町のおかみさんだけど、堅気の女房なんだからそんなに伝法になってはおかしいと思うが。なんでこの人って、ごく普通の役が出来ないんだろう。
高麗蔵のおなぎが行儀良く、武家勤めの女の風情。
亀鶴の三吉が軽快。
左團次の家老がさすがの貫禄と懐深い情を見せた。
夜の部だけ、金太郎ちゃんが酒屋の丁稚。可愛い!
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