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橋ものがたり展 [美術]

8月7日(日) 三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
ちらし.JPG
今年は現在の日本橋が架けられて100年目だとか。それを記念して、日本橋の三井記念美術館で、日本美術に描かれた数々の「橋」を見る、と言うなかなか乙な趣向の展覧会。

日本美術に取り上げられた橋と言えば、第一に源氏物語の宇治橋、次に伊勢物語の八ツ橋、と言うところ。
絢爛たる蒔絵で描かれた香箱や硯箱などのお道具類の豪華さに目を奪われる。
八ツ橋a.JPG
「八橋蒔絵硯箱」桃山時代 
外だけではなく、内側にも装飾を施した手の込んだ硯箱。細かい意匠がびっしり。

その一方で、志野焼の茶碗に描かれた橋の、簡略な造形も違う美しさを見せる。写実や精緻さとは遠いところで、見るものの想像で補う世界。それに「橋姫」や「住吉」と銘をつけた先人のセンスの面白さ。
志野a.JPG
志野茶碗 「銘 橋姫」
言われてみれば橋?と言うような太鼓橋のようなものが描かれた簡素な茶碗。余分なものは何もないところから立ち上るような気品が溢れる一品。

そして神や仏の世界と世俗をつなぐ、あるいは隔てる橋。

さらには日本橋を始めとして、各地にある橋を描いた北斎や広重などの絵も多数。
洛中a.JPG
「洛中洛外図屏風」江戸時代

思えば、西洋美術で橋をモチーフにした絵なんてそんなにない気がする。あったとしても風景画の一部で、橋そのものが主役というのはそんなにないのでは。不思議ですね、西洋の方が石のしっかりした橋を作って、日本の木の橋なんてすぐに焼けたり落ちたりしてきたのに。
日本人と橋の結びつきの強さを感じる展覧会。
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コメント 4

リュカ

確かに言われてみるとそうですね。
西洋で橋は、風景画の一部に過ぎないかもしれません。
ほんとそう思うと面白い。
日本では、橋ってあの世とこの世の境目だったりもしますもんね~
橋に対する意識が違うのですね~~
by リュカ (2011-08-08 07:44) 

そらへい

「橋ものがたり」って
なにか、山本周五郎か藤沢周平の小説のタイトルみたいですね。
西洋で橋を捉えていると言ったら
やはりゴッホの「アルルの跳ね橋」ですかね。
by そらへい (2011-08-10 23:34) 

mami

リュカさん、
そう、日本では橋は結界ですね。
あるときは繋ぎ、あるときは拒絶する。。。
西洋より宗教的意味合いが強い気がします。
by mami (2011-08-11 00:12) 

mami

そらへいさん、
ああ、そういえばそうですね。
確か藤沢周平にそのものずばり「橋ものがたり」って本があったような。
ゴッホの「アルルの跳ね橋」、私も真っ先に思い浮かべました。
by mami (2011-08-11 00:16) 

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