SSブログ

ルーシー・リー展 [美術]

6月13日
国立新美術館
http://www.lucie-rie.jp/index.html

ちらし.JPG

ウィーン生まれでイギリスに渡って活動した女流陶芸家、ルーシー・リー(1902-95)の回顧展。
そう言えば、欧米の陶芸家ってあまり知らない。バーナード・リーチくらいかな。リーチも日本にゆかりがあるから知っているだけかもしれない。もちろんヨーロッパにはマイセンやウェッジウッドを初めとする有名陶磁器ブランドはあるし、陶芸家もいるんだろうけれど、日本ほど焼き物が盛んという印象はない。考えてみると不思議。良い土がないのかしら?まあ、私が無知なだけかもしれないけど。

このルーシー・リーも、実はこの展覧会で初めて知ったアーティスト。
作品は日常でも使えそうな食器や花器、植木鉢などが多く、いわゆるオブジェの類はないのでとても親しみやすい。
若い頃まだウィーンにいた時期の作品には、華やかな色使いの、ウィーン分離派などの影響も感じられるものもあって、時代を感じる。

戦争を機にイギリスに渡ってからは、バーナード・リーチの影響を受けながらも結局は離れて、独自の作風を作っていくが、大きく分けてふたつのパターンを生涯追求していったよう。

一つは1950年代に始めた掻き落としの技法。リーは新石器時代の土器を見て触発されてこの技法を始めたようだが、朝鮮陶器にもこう言うのはあったと思う。
header.jpg
カップ。内側と外側の色の対比が効いていて、お洒落。実用に使えそう。

point02_02_photo03_l.jpg
これは、ウェッジウッドからの依頼で試作されたジャスパーウェア。残念ながら商品化はされなかったが、発売されていたらどうだったろう。ウェッジウッド社には、斬新すぎると思われたのかな?今なら、とてもモダンなジャスパーウェアとして受け入れられそうだけど。

二つ目は「溶岩釉」と呼ばれる、厚く釉薬をかけて泡だった表面の変化の面白さを見せるもの。表面がぶつぶつとしていて、一見ごつごつした感じなのに不思議に繊細な味わいがあるものが多い。ぼってりした釉薬の器というと志野焼なども思い出すが、あれよりずっとざらざらした感触が面白い。
point02_03_photo02_l.jpg
溶岩釉鉢
大きめの鉢。色がお抹茶を連想させる。

そして晩年には色合いがますます洗練されて美しくなっていく。

point03_02_photo01_l.jpg
スパイラル文花器
色の微妙な変化が美しい。

point03_01_photo01_l.jpg
白釉青線文鉢
シンプルなのにとても綺麗。余計なものがそぎ落とされたデザイン。

88才で病に倒れるまで創作を続け、93才まで生きたルーシー・リー。70年以上も陶芸に打ち込んだ見事な生涯。
会期は21日までとあとわずか。お見逃しなく。
nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。