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国立劇場11月歌舞伎 [舞台]

11月9日

今月の初日に藤十郎の文化勲章受章と言うおめでたいニュースがあって、ロビーにはこんなパネルも。
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会場ロビーでは「外郎売」に因んで小田原の物産の売店があり、お菓子のういろうも売っていたので買っちゃった。さらに何故か化粧品のサンプルも配っていた(期間限定みたいだったけど)。

一・外郎売
團十郎の外郎売り実は曽我五郎、彌十郎の工藤祐経、芝雀の大磯の虎、翫雀の小林朝比奈、扇雀の舞鶴、市蔵の珍斎

歌舞伎十八番のうち。実は初見。テレビでは見たことあるけど。趣向としては「曽我対面」の一種の中に外郎売りが入ってると言うところか。
團十郎は声が良く通る人なのでこの役はほんとうにぴったり。有名な早口言葉も淀みなく聞かせて可笑しさもある。さらに五郎と顕わしてからはいかにも力の溢れる様子がさすがは成田屋で、屈託のない明るさと華やかさで荒事の楽しさを見せてくれた。

彌十郎の工藤祐経というのは、團十郎相手に格の上でいささか辛いものがあるが、まあ無難な出来。
芝雀がこれ一役で今月出演というのも贅沢だが、さすがに美しく存在感があった。

二・傾城反魂香
團十郎の浮世又平、藤十郎のおとく、彦三郎の土佐将監、亀鶴の修理之助、扇雀の雅楽之助、右之助の北の方
あまり役の幅が広い方ではない團十郎の又平というのは珍しい気がしたが、何度かやっているようだ。さすがに手堅い出来ではあったが、何がなんでも土佐の名字が欲しい又平の追いつめられた絶望感のようなものまではそれほど伝わってこず、そこが上手く出せないので、一転して名字をもらえた喜びとの対比が今ひとつ生きてこなかったように思う。なんだか平板な感じ。

つられてか藤十郎のおとくも、いつものように情の深い健気なおとくではあるのだが、何となく表面的で、深みに欠ける感じなのはどうしてだろう。普段の藤十郎のおとくなら、こちらもぐいぐい引き込まれて泣いてしまうのだが、そこまでの感動が感じられなかった。

結句、「東西両優の共演」とうたうが、二人の芸質が違いすぎて上手く噛み合っていないのじゃないか、という気がした。別にお互いに遠慮しているのでもないと思うが、二人の共演が相乗効果を生むと言うより、溶け合わないまま終わってしまったような欲求不満が観終わって残った。もちろん二人とも達者なので、面白くないと言うわけではないのだが、この顔合わせならもう一段上の感動があるはずという期待には応えられなかったようだ。

亀鶴の修理之助が、行儀のよい若い弟子らしい雰囲気があり上々。また、後ろで又平やおとくの様子を見ているときも、ただぼーっとしているのではなくちゃんと二人の芝居を受けている様子が見えたのはよかった。
扇雀の雅楽之助がすっきりとした様子。
彦三郎と右之助も厳格な師匠と思いやりある妻の風情できちんとした芝居。

三・大津絵道成寺 -藤十郎五変化-
藤十郎の藤娘・鷹匠・座頭・船頭・大津絵の鬼、市蔵の外方、亀鶴の弁慶、翫雀の矢の根五郎
全くの初見。観る前は、変化舞踊というので、8月に三津五郎がやった六歌仙みたいなのでその中に有名な「藤娘」が入っているのかと思っていたら、全然違うものだった。
これは「娘道成寺」を下敷きに大津絵に出てくる登場人物を取り入れたものらしく、詞章も「娘道成寺」を下にしてある。白拍子花子の代わりに藤娘で、最後の蛇の代わりに鬼と言ったところ。この最後の鬼のメークが、眉毛と髭が金髪みたいで何ともユーモラス。

藤十郎は藤娘で可憐ではんなりとした美しさを印象づけ、早変わりで他の役に変わってまた藤娘に戻って、と大活躍。藤娘はもちろん、座頭、船頭と言った全く違う雰囲気の役にも即座になりきって見せて、変化舞踊の楽しさを満喫させてくれた。ほとんど出ずっぱりで大変だと思うが、いや~、ホントにお元気ですわ。文化勲章をもらったときのインタビューで「新しい歌舞伎座でも娘道成寺を踊る」と言っていたが、あながちほらでもなさそう。ぜひ楽しみにしたい。

亀鶴の弁慶はいささか線が細いが、声は良く出てなかなかの出来。でも花道での奴たちの「とう尽くし」を聞いて笑っちゃダメ。
翫雀の五郎は隈が似合ってなかなか勇壮な様子。


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ZARA

そうなんです 亀鶴様 とう尽くし聞いてわらっちゃうからびっくり!
でも、初日倒れて、死ぬほど心配したから、笑ってるくらい豪快さんでちょっと安心

また23日行きます。 藤十郎様の「文化勲章!」に加えて、団十郎様に「倅、婚約おめでとう!」がでたりして。。。

亀鶴様も結婚して、煙草やめて、体調管理して、幸せになってほしいです。
by ZARA (2009-11-20 20:08) 

mami

ZARAさん、はじめまして。
亀鶴さんのご贔屓なんですね。私も同世代では応援しています。
初日にお倒れになったんですか!?全然知りませんでした。
でもその後は元気に舞台をつとめてらっしゃるようだから、大丈夫なんですね。

「成田屋さん、おめでとう」は今日にもかかってることでしょう。
亀鶴さんはまだそんな話はないのでしょうか?
by mami (2009-11-21 00:15) 

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