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「ウルビーノのヴィーナス」展 [美術]

国立西洋美術館
http://www.venus2008.jp/index.html
IMGa.JPG
ぽかぽか陽気に誘われて、半蔵門の国立劇場から上野に足を伸ばす。
先週始まったばかりで平日の午後と言うこともあり、割合ゆっくり見ることができたのは幸せ。

この展覧会はフィレンツェのウフィツィ美術館所蔵の、ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」を中心に、ギリシャ時代からルネッサンスにかけてのヴィーナス像の変遷をたどるという趣向。つまり、展示作品は全部ぜ~んぶヴィーナス[exclamation]
まあ、これだけ女性像、それもほとんどがヌードという展覧会も珍しいのではないかしら(笑)。

ヴィーナスは言わずと知れた古代ギリシャ・ローマ神話の美の女神。ヴィーナス像の変遷というのは、そのまま美術上の美女の表現の変遷と言っても良い。だからヴィーナスを見ればそれが描かれた当時の美女の基準がわかるというもの。でも西洋絵画の場合、日本画ほど美女のはやりすたりがないようで、ギリシャ時代のヴィーナスを現代に持ってきても十分美人で通りそう。

キリスト教の影響が強かった中世には異教の女神ヴィーナス像はほとんど描かれず、ルネサンスになって文字通り復活したというのはうなずける。
面白いのは、ヴィーナスは結婚のお祝いとして描かれることが多かったという点。新婦の懐妊を祈ってだそうだが、なんだかちょっと納得しがたい気も。

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「ウルビーノのヴィーナス」はどういう経緯で描かれたのかまだ謎が多いそうだが、図像学的にはヴィーナスを模しているとしても(背景もとても世俗的だが、手にした薔薇、足元で眠る犬などちゃんとお約束があるらしい)、実際には依頼主の愛人の肖像画という面が強いに違いない。とても艶めかしくて、こんな絵に見つめられたらドキドキしてしまう。まるで陶器のような肌の輝きと共に目に付くのがほどいた長い髪の美しさ。これはやっぱり実物を見てほしい。

他の展示作品もそれぞれ魅力的だが、異色なのはミケランジェロの下絵に基づいた一枚。異様に筋肉逞しくて、バスト以外は男かと思うほど。まるでバチカンの「天地創造」の絵から取ったみたいで可笑しかった。

IMG_0002c.JPG
これはメディチ家が作らせたプリニウスの「博物誌」。羊皮紙に一枚一枚手描きの装丁がそれは見事で溜息が出るよう。ヴィーナスはページの下部に描かれていてよくわかりませんが。

「ウルビーノのヴィーナス」は日本初公開。ぜひお見逃しなく。

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