2月6日(日) ル・テアトル銀座
1月に続いてのルテ銀での歌舞伎公演。
於染久松色読販（おそめひさまつうきなのよみうり）
お染の七役
お染／久松／竹川／小糸／土手のお六／貞昌／お光 市川 亀治郎
鬼門の喜兵衛 市川 染五郎
髪結亀吉 坂東 亀三郎
船頭長吉 中村 亀 鶴
油屋多三郎 澤村 宗之助
女猿廻しお作 市川 笑 也
庵崎久作 市川 門之助
油屋太郎七 坂東 秀 調
山家屋清兵衛 大谷 友右衛門
同じお染久松ものでも、｢新版歌祭文」などに比べると、｢お染の七役｣と言う副題が示すとおり早替わりに重点が置かれたケレン味の強い作品で、その分南北の作品にしては芝居の味は薄い。いわば亀治郎の奮闘を観たと言うところ。
その七役、早替わりの技はさすがによくできていて、初日から1週間たっていないがもたつくようなことはない。それに、早替わりと言っても、花道ですれ違いざまというようなスーパーパフォーマンスなものはほとんどなくて、どれも観ていれば仕掛けがわかるようなものなので、それで｢おおっ！｣と言うことはない。
最初の方、ちょっと声がかすれているようで、風邪でも引いたかと思ったが、後半ではそうでもなかった。
どの役もそれなりにちゃんと変化を付けていて、まあまあそつのない出来という感じだが、正直言ってどれも印象に残るほど優れた出来でもないか。
お光やお染などよりも、お六がいちばんぴったり来て本人も楽しそう、というのは予想されたことではあったけれど、真女形としてはどうなんだろうという疑問は湧く。先年この役をやった福助もそうだったんだよね。お光やお染の可愛らしさいじらしさが今ひとつとってつけたようなのに対して、お六のふてぶてしさが自然、というのは今後の亀治郎の女形としての進み方を考える上では、う～ん？なのである。
染五郎の鬼門の喜兵衛は二度目。本役とは思えないのだが、本人はいたって気持ちよさそうに楽しげにやっているから、ま、いいか。死体に手を加えたり、強請たかりをしたり、とかなりの悪人なのだが、南北の描く非道さよりは可笑しさがやや勝った造形。
周りは、門之助 の久作、友右衛門の清兵衛、秀調の油屋太郎七など、花形歌舞伎にしては手堅く高水準。
終幕も、しっとりとした笑也と、きっぱりした江戸前の亀鶴とが良い味わいで華を添えた。
1月に続いてのルテ銀での歌舞伎公演。
於染久松色読販（おそめひさまつうきなのよみうり）
お染の七役
お染／久松／竹川／小糸／土手のお六／貞昌／お光 市川 亀治郎
鬼門の喜兵衛 市川 染五郎
髪結亀吉 坂東 亀三郎
船頭長吉 中村 亀 鶴
油屋多三郎 澤村 宗之助
女猿廻しお作 市川 笑 也
庵崎久作 市川 門之助
油屋太郎七 坂東 秀 調
山家屋清兵衛 大谷 友右衛門
同じお染久松ものでも、｢新版歌祭文」などに比べると、｢お染の七役｣と言う副題が示すとおり早替わりに重点が置かれたケレン味の強い作品で、その分南北の作品にしては芝居の味は薄い。いわば亀治郎の奮闘を観たと言うところ。
その七役、早替わりの技はさすがによくできていて、初日から1週間たっていないがもたつくようなことはない。それに、早替わりと言っても、花道ですれ違いざまというようなスーパーパフォーマンスなものはほとんどなくて、どれも観ていれば仕掛けがわかるようなものなので、それで｢おおっ！｣と言うことはない。
最初の方、ちょっと声がかすれているようで、風邪でも引いたかと思ったが、後半ではそうでもなかった。
どの役もそれなりにちゃんと変化を付けていて、まあまあそつのない出来という感じだが、正直言ってどれも印象に残るほど優れた出来でもないか。
お光やお染などよりも、お六がいちばんぴったり来て本人も楽しそう、というのは予想されたことではあったけれど、真女形としてはどうなんだろうという疑問は湧く。先年この役をやった福助もそうだったんだよね。お光やお染の可愛らしさいじらしさが今ひとつとってつけたようなのに対して、お六のふてぶてしさが自然、というのは今後の亀治郎の女形としての進み方を考える上では、う～ん？なのである。
染五郎の鬼門の喜兵衛は二度目。本役とは思えないのだが、本人はいたって気持ちよさそうに楽しげにやっているから、ま、いいか。死体に手を加えたり、強請たかりをしたり、とかなりの悪人なのだが、南北の描く非道さよりは可笑しさがやや勝った造形。
周りは、門之助 の久作、友右衛門の清兵衛、秀調の油屋太郎七など、花形歌舞伎にしては手堅く高水準。
終幕も、しっとりとした笑也と、きっぱりした江戸前の亀鶴とが良い味わいで華を添えた。