7月4日 11:00
国立劇場



日曜日なので団体さんはなし。子供さん連れは結構いらした模様。

(以下ネタばれあり)

まず例によって解説「歌舞伎のみかた」がつくのだが、これが今回なかなか凝っている。
担当は壱太郎と隼人の二人。まずスクリーンに二人の紹介を兼ねたような、素顔と舞台化粧をした写真が深夜のちょっとチープな民放のドラマのオープニングのような感じで音楽付で映し出され、さらに二人が劇場入り口に入っていく様子のフィルムが流された後、客席後方の扉から二人が登場するという仕組み。それもいまどきの若者らしい洋服姿。

舞台に上がってからは、まあ普通の解説どおりセリやすっぽん、花道、黒御簾など一通りの説明。
その後またフィルムになって、隼人が女形の顔をつくるところを見せる仕掛け。
まだ二日目だったので、二人とも硬さが抜けていないが、一生懸命やっている様子は伝わり好感が持てる。この日はいなかったが、女子高生などには受けそう(笑)。

身替座禅
錦之助の右京、彦三郎の玉の井、亀三郎の太郎冠者、壱太郎の千枝、隼人の小枝

錦之助初役の右京。この人らしく、あまりくだけすぎない品のよい舞台。前半では奥方に頭の上がらない様子が微苦笑を誘い、後半では浮かれていたのが一転、うそがばれたと知って慌てふためく様が可笑しい。特に後半はもう少し柔らか味がほしい気もするが、まずまずしっかりまとめていた印象。

彦三郎の奥方も手堅いが、もうちょっとだんな様いとしの可愛らしさもほしい感じ。
亀三郎の太郎冠者がなかなかひょうきんな様子でしっかり勤めていた。
壱太郎と隼人の腰元二人も楚々とした様子が似合いなかなかの出来。踊りではやはり壱太郎が上手さを見せた。さっきの「普通の男の子」が女方に変身しているのを見たら、同世代の子たちがどう思うのか聞きたいところ。親しみを感じてくれたら良いけれど。

わかりやすい演目なので、子供や初めてっぽい大人からも笑い声が起きていたのはよかったと思う。

普通の鑑賞教室では、狂言が終わればそれでおしまいだが、今回は幕が下りた後、先の二人が再び、今度は袴姿で花道から登場。もう一度幕が開いて、長唄、囃子などの演奏者を紹介。さらに二人で「棒しばり」の終わりのところを舞って終わるという、意外なおまけ付。
「身替座禅」だけじゃちょっと短いな、と思っていたので、ほほう、よく考えたな、という感じ。
解説も踊りもまだまだこなれていないが、月末にかけてもっと調子も出てくるだろう。今日のところは敢闘賞。