昨年「仏像展」で円空の仏像をまとめて観て以来、ちょっと気になっていた円空の生涯をたどった本。でも梅原さんの本らしく、ただの伝記ではなくて、仏教の知識があまりない私にはいささか難しかった。円空入門編とは言えない。とは言え、作品の写真も多く、円空への理解が多少は深まったか。
円朝の落語といえば、「文七元結」などで歌舞伎ファンにもおなじみ。その円朝の未発表作が発見された!? 虚実ないまぜの、でも円朝なら書きそうな、と思ったり。
池澤さんの文章には、適度な緊張感があって好き。短編では特に。
京極さんのスト-リーテラーとしての才能はすごい。これも、昔から伝わる怪談を「仕掛け人」みたいな仕事に結びつけていく腕前に脱帽。
村上春樹の小説、特に長編は、プロットに付いていけなくて好きになれない。「海辺のカフカ」なんて、どこが面白いんだろう、と思ってしまった。だけど、彼の文体は好きなんだな~。というわけで、彼の小説より翻訳の仕事の方が気に入っている。
当代のお父さん、十三代目の芸談。生の舞台は数回しか観られなかったけれど、ほんとに立派な役者さんだった。壮年の頃の舞台を拝見したかった、と思わせる芸談。
久々にコンビ復活の主人公の女刑事音道貴子と中年刑事滝沢保の、相変わらずぎくしゃくした、しかし昔よりお互いを認めあってもいるような微妙な関係が可笑しい。