東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html
サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)。名前すら知らなかった。オランダのアーティスト。あのだまし絵で有名なエッシャーの師匠だという。日本で初めての回顧展。

なるほど、主に線の肥痩で対象を描き分ける木版画のスタイルが似ているかも。単純化された人物や動植物が生き生きとして楽しい。ドローイングは不可思議な夢の世界。


ワシミミズク 1915
多色刷りはほとんどなく、潔い線で描かれた白黒の世界。やや誇張気味な動物や人間の表情に引き込まれる。


ユリ 1916-17

展示の中には同一作品のいくつかのステートを並べてあるものもあって、作家の試行錯誤が見えて興味深い。雑誌の表紙デザインなどは、ほぼ同時代のウィーン分離派に近いものも感じた。
版画好きにはおすすめ。


『ウェンディンゲン』表紙 1923
ユダヤ人のメスキータは1944年にナチスによって収容所に送られ、家族とともに命を落とした。メスキータが連行された後の家に駆けつけて残された作品などを集めて保管したのがエッシャーやその友人たちだったという。
近年になって再評価されているらしい。納得。