2月10日(日)
山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html


琳派の作品と、琳派の影響を受けた近代日本画の作品を集めた展覧会。と言っても、琳派の影響のない日本画なんてあるのか、と言うくらいなものなので、幅を広げればどこまでも行ってしまいそうだが、まず奇をてらわず誰が観ても納得なものが並んでいる。


琳派ではまず「石山切」など料紙と書のコンビネーションの美しい作品が並ぶ。先日観た王羲之展の書は当たり前だが漢字ばかり。仮名まじりの書の柔らかさと、絵の描かれた料紙の美しさが相乗効果を呼ぶ。


江戸琳派からは代表的な酒井抱一の「秋草鶉図」
秋の草花と鶉、それに月が描かれ、デザイン化された薄の線のような茎が美しい。


一方こちらは下村観山《老松白藤》 松に藤という古来からある組み合わせを大胆に描いたもの。それぞれの描写は緻密で写実的。


また、源氏物語や伊勢物語を題材にしたものも多い。かの光琳の八ツ橋図も伊勢物語が主題。それを近代に描いたのは川端龍子の「八ツ橋図」。

この他にも御舟の紅白梅や、等伯の松を彷彿とさせる大観の竹図、なども印象深かった。

こうしてみていくと、日本の美術が和歌や物語の世界と切っても切れない結びつきがあったことを改めて感じる。琳派の系列って、なんだか日本の美意識のど真ん中という感じがする。

数はそう多くないけれど、優品ばかりの展覧会。