7月19日(火) 東京国立近代美術館
http://klee.exhn.jp/index.html


クレーは日本でも人気があって、たびたび展覧会がある。確かほんの数年前にもクレーを中心にした展覧会を見た記憶が。なので、今回はもう良いかな、と言う気がしていたのだが、他の方のブログなどを見てやっぱり行っておこうかな、と出かけてみた。

今回の展覧会、「おわらないアトリエ」とサブタイトル。絵のテーマではなく、制作過程に焦点を当て、「具体的な「技法」と、その技法が探究される場である「アトリエ」に焦点を絞り、クレーの芸術の創造的な制作過程を明らかにしようする」(チラシより)、ちょっと面白い展示。

クレーの絵というと、無邪気な子供が描きなぐったような一見天真爛漫に描かれたような印象があって、ピカソ同様、天才が直感で描いていったみたいに見えるのだが、この展示を見ると、様々な技法を試したり、過去の作品に手を加えて新しい物にしたり、といった画家の試行錯誤、あるいは挑戦の過程が見えてくる。

詳しいことは専門家じゃないのでよくわからないけど、(時間のある方は、公式サイトをご覧下さい)へ~、ほ~、と思うことがいっぱい。
でも素人目には、「油彩転写」という技法なんて、普通に下書きすれば簡単だろうに、と思ったり。切断して別の作品にしてしまったものは、始めからそうするつもりだったのかな?と思ったり。ふうん、画家のやることはわかんないねえ、と思うこともしばしば。


「花ひらく木」(1925)
これを回転させて手を加えて

「花ひらいて」(1934)
になる。

上のチラシの絵も実は切断されて今は2枚の絵。なんで切っちゃったんだろう。

とまあ、技法がどうのこうの、というとなんだか小難しそうだけど、ただの素人としてはあんまりそこにはこだわらず、クレーの絵を楽しめばいいかな、とも。

クレーの絵は色も綺麗なのが多いし、なんだかかわいい感じのも多い。でも特に人が描かれているものは(といってもお人形みたいだけど)、時々ハッとするほどグロテスクだったり、残酷さが隠れていたりするものもある。
だから、クレーの絵は単純にはかたずけられず、ふと「心の闇」という言葉が浮かんだりもする。


「嘆き悲しんで」(1934)
今回いちばん好きだった絵。単純な描線と優しい色使いの中に、ズキンとするような悲しみが感じられる絵。これを描いたとき、クレーに何があったのかしら。

〈追記〉
特別展示を見終わってから時間があったので、上の所蔵品展示室へ行ってみたら、そっちにも結構クレーの作品がありました。コンセプトから外れるからか、企画展示に出さなかったようですが、クレー好きな方はそちらへも足を運ぶことをお薦めします。