7月10日(日)



梅雨が早くも明けて、夏本番。
3時からの回に行くのは、外を歩くのが辛い時間で、着いたら汗だくでした……。
日曜なので学生の団体さんはいなかったけど、お子様は結構大勢。
前半の解説は今月は松也。
いきなり客席から登場。
今月はお客さんの代表は上げず、終始一人で説明。
先月の壱太郎といい松也といい、若いのにしっかりしてるよね。

義経千本桜 (よしつねせんぼんざくら) 一幕二場
   渡海屋の場
   大物浦の場

松緑の銀平実は知盛、魁春のおりゅう実は典侍局、松也の義経、亀三郎の相模五郎、亀寿の入江丹蔵、団蔵の弁慶

松緑初役の知盛。
前半の銀平では、期待したほど大きさが感じられず、ン~まだ貫禄はないからねえ。となると知盛はいかに、とやや不安を感じたが、こちらが予想以上に上出来。
衣装を変えて知盛として白い鎧姿で登場の場面では、すっきりと品のある様子。謡いながら舞うところも踊りの上手い人らしくそつない動き。
眼目の手負いとなって戻ってきてからも、終始丁寧な演技で、大仰に目を剥いたり声を荒げたりはせず、しかししっかりと帝への忠節、源氏への恨みを見せ、一転心が折れてからの悲痛な六道の嘆きも明瞭な台詞回しでしっかり聞かせて上々。
幕切れの碇を担いでの入水場面も痛々しさと勇壮さを見せて大きかった。
亡くなった富十郎さんに習ったと言うことだが、嫌味なことを絶対にしなかった天王寺屋さんらしい、行儀良い出来。これならいずれ本役として、歌舞伎座でやる日も近いだろう。

魁春の方は二演目。お柳として夫の日和見の確かさを自慢する場面では、前回はいちいち落語家みたいに体の向きを変えるのが目障りで、こういうやり方もあるのかなあ、と思ったが、今回はそういうことはやめて語りだけですっきりと聞かせた。
典侍局と顕してからは気品ある様子と、帝大事の愛情を見せ、「いかに八大龍王」の台詞も立派に聞かせて上々。

亀三郎と亀寿が、前半はコミカルに、後半は凛々しい様子を見せてなかなか。特に亀三郎の方は、「魚尽くし」の台詞や、注進の場面で口跡の良さを印象づけた。
松也の義経は気品はあるが、淡泊で、同じ武将として知盛への同情などをもう少し見せてほしい。
団蔵の弁慶がさすがの貫禄。

ちなみに、安徳帝役の子は、松緑の息子の大河君と別の子のダブルキャスト。私が観たのはどっちだったのかな。

ところで、知盛が、平家一門の苦難も父清盛の悪事のせい、と六道を語るところで、安徳帝が姫宮なのを男宮と偽ったから、と言うくだりが義太夫にはあるが歌舞伎では大抵省かれる。何故だろう。これ大事なことだと思うんだけどな。史実は知らないが、文楽で初めてここを聴いた時は、「なるほど!」って凄く腑に落ちたんだけど。