6月20日(月)
サントリー美術館


だいぶ行ってから日が経ってしまいましたが、五嶋みどりのリサイタルまで時間が空いたので、行ってみました。
ほんとはそんなに興味なくて、時間つぶしに行ったんですが、思ったよりずっと面白かった。

鳳凰と獅子という、想像上の生き物がいかに信仰され美術化されてきたかを振り返る展覧会というのは今までなかったのでは。
どちらも古代中国から伝わり、吉祥の現れ、霊験あるものとして図象化されてきた。
古くは鏡、寺院の瓦、平等院の屋根の鳳凰はおなじみ。
獅子はなんと言っても狛犬。獅子舞。文殊菩薩と結びついて仏画でもいろいろ。そこからさらに能の「石橋」に、そして歌舞伎では各種の「獅子もの」が生まれた。

想像上の生き物だけど、長年の間に形のお約束はできあがっている。
それが江戸末期になって本物の「ライオン」の姿が伝わって微妙に「獅子」から「ライオン」に変わるとやっぱり変な感じ。

出品作は多岐にわたっていて、鳳凰では平等院の屋根に鎮座する鳳凰の模型とか、人気の若冲の「旭日鳳凰図」(三の丸美術館所蔵)も見ることができた。ま、これは一昨年皇室秘宝展で見たけれど、先日テレビで若冲特集をやっていたので改めて観られて良かった。

鳳凰文磚 奈良時代 南法華寺蔵

獅子の方もいろいろあったが、広重の「獅子の児落とし」図は、観たばかりの歌舞伎の「連獅子」を思い出して興味深く、蘆雪の「唐獅子図屏風」も楽しかった。また、平櫛田中の「鏡獅子」は国立劇場にあるもののミニチュアで、六代目菊五郎をモデルに作られたもの。

鏡獅子 平櫛田中 昭和15年(1940)

展示替えが多く、私が観た日には若冲の「花鳥図押絵貼屏風」が観られたが、狩野永徳の「唐獅子図屏風」はなかった、などリピートしない限りかなり見落としがあるのが残念。