6月5日(日) 太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H230607kuniyoshi.html

今、大阪でも国芳展をやっているが、今年が没後150年と言うこともあってか、太田美術館でも記念展が始まった。6月と7月、前後期に分けての展覧会。

ここはあまり大きくない美術館なので、混んでたら嫌だな、と思ったが日曜にしてはそれほどではなかった。まだ会期初めだからかも。

前期のテーマは「豪快なる武者と妖怪」

代表作の一つ水滸伝を描いたシリーズや、八犬伝などの物語、義経や弁慶の合戦の絵などに描かれた勇者の姿は、まるで歌舞伎の隈取りのように筋肉もりもりで勇ましいことこの上ない。その上、合戦図などではその他大勢の雑兵などに至るまで一人一人びっしりポーズも表情も変えて描き込まれている。ほとんど執念とも言えるその描き方は、一種若冲に通じるものがあるような気がした。日本画特有の「余白の美」なんてくそ食らえ、とでも言おうか。中には、あまりにごちゃごちゃしていて、肝心の主役がどこにいるのか、顔がどれなのかすぐにはわからないようなのさえあった。


「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」
怖いくらいのど迫力。

妖怪の絵は、怖いながらもなんだかユーモラスで楽しいのが日本の絵の特徴。そもそも、こんなにいっぱい妖怪変化が想像されたなんて西洋では聞かない。あちらでは、物の怪は悪魔に集約されているんだろう。北斎の百物語も傑作だが、国芳のは伝説や物語で語り継がれてきた化け物を視覚化している。化け猫はもちろん、巨大蟇蛙、人を襲う猿の化け物、鯨、などを迫真の姿で描いている。水木しげる先生も真っ青?


「相馬の古内裏」
この絵の骸骨の描き方は、解剖学を参照し、と西洋の絵画の陰影をまねているとか。


「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」これは巨大魚。

役者絵は、他のジャンルに比べるとすっきりと綺麗なプロマイド。注目すべきは衣装のデザイン。実は国芳は自分で着物の柄のデザインもしていて、それが流行することもあったと言うから驚き。


「達男気性競 金神長五郎」
この着物の柄が国芳の絵そのもの。いよっ、粋だねぇ。

7月の後期は「遊び心と西洋の風」。人気の猫の絵や、スカイツリーが描かれてる!?と話題の絵はこちらで展示とのことなので、これも必見。