10月1日(金) 
損保ジャパン東郷青児美術館
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

10月1日は東京都民の日。この美術館は都営ではないのだが、この日は毎年お客様感謝デーとして無料で拝観出来る。今年は上手い具合に金曜日の夜間オープンと重なったので、仕事帰りに寄ってみた。
普段の夜間はそれほど混んでいないのだが、無料とあってかこの日は結構な混みよう。みんな考えることは一緒ね。

ウフィツィ美術館と言えば、言わずと知れたフィレンツェの有名な美術館。私も昔々、イタリア旅行したときに寄ったけれど何しろ駆け足、超有名なボッティチェルリやラファエルロ、ダ・ヴィンチなどを観るのが精一杯。ここに世界的にも有数な自画像コレクションがあったなんて初めて知った。
でも解説を読むと知らなかったのも無理ないことで、このコレクションは「ヴァザーリの回廊」というスペースに展示してあるのだが、見学は予約制で一般公開していないとのこと。へええ。ちなみにこの回廊、かの有名なポンテ・ヴェッキオの上階にあると聞いてまたびっくり。あんなところにねえ。

と言うわけで、この展覧会。普段は見られない貴重なコレクションと言うことになる。
だが出品されている画家は、正直言って有名な人は少ない。私などは、レンブラントやアングル、アンソールにシャガールと言った10人足らずくらいしか名前もしらない画家の絵ばかりだった。

でも、だからといって面白くないと言うことではなく、自画像とはいえその時代の流れを表しているのは当然で、バロックの、ロココの、古典派のそれぞれの画風が楽しめる。さらに近現代になれば、自画像とて抽象化の波に洗われてどこが顔やら、のものまで登場する。

また、描かれた画家の顔も、セルフプロモーションも兼ねた自信満々なもの、反対に意気消沈している時代のもの、家族のために描かれた愛情の感じられるもの、あるいは実験的な習作、など様々。ただでも自己顕示欲の強いアーティストが、他人の肖像画と違って何の拘束も遠慮もなく描いているのだから、ある意味ずっとストレートに画家のその時の感情が反映されているのかも知れない。



チラシの絵はル・ブラン。マリー・アントワネットお気に入りの画家だった。この絵は革命後亡命中にアントワネットの絵を描いているところ。歴史を感じる一枚。


レンブラント
50代、破産する前年の絵とか。レンブラントは自画像をたくさん描いているが、若い時の売れっ子だった頃の意気軒昂な面影はもうない。物寂しげな表情が胸を打つ。


ティントレッタ
ティントレットなら聞いたことあるけど?と思ったら、その娘だった。父の工房で働いていたと言うから、優秀な腕を持っていたのだろう。マティエールがティントレットによく似ている。控えめな表情と言い、今回の展示品でいちばん気に入った絵。


シャガール
そういえばシャガールの自画像ってあまり観た覚えがない。恋人や妻の面影はよく絵にしているけれど。

ウフィツィでは現在も自画像の収集を続けていて、画家や遺族に寄贈を呼びかけているとか。今回この日本での展覧会を機に、草間彌生、横尾忠則、杉本博司の三人の絵がコレクションに加わることになり、これらも展示されている。横尾のジャパンをモチーフにした絵もさることながら、草間の「私を見て!!」とでも言うような強烈なアピールの力にちょっとたじろいだ(苦笑)。