6月14日
千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html



この日から関東も梅雨入り。しとしと雨の中、初めて千葉市美術館へ。
JRの千葉駅から歩くと15分くらいとちょっと不便。雨だったので、行きはバスに乗っちゃった。
美術館は市役所の建物の中。
平日だし割と空いていてゆっくり見られた。

アナザーワールド、というのは着色画に対する水墨画のことを指して言っている。
確かに若冲というと、昨年の皇室の至宝展でも展示されていた「動植綵絵」のような華麗な着色画の方が印象が強いかも。
でも私などは、あの執拗なまでに隅々までびっしり描き込まれた、色とりどりの絵のほとんど息が詰まるような世界より、若冲の水墨画のまるで筆のおもむくままに描かれたような自由で気取りのない絵の方が好きだ。

たとえば、若冲が生涯にわたって繰り返し描いた鶏も、着色画だと猛々しくてなんだか猛禽類みたいだけど、水墨画だと何とも剽軽な味わいになる。


足元にひよこがいるの、わかります?まるでおまんじゅうの「ひよこ」みたいで可愛い~。


こちらは雷神図。太鼓を追いかけて空から落っこちてしまう雷神様。こんな可愛い雷様ならいつでもいらっしゃい(笑)。

そしてこの展覧会の呼び物の一つがこれ。


「象と鯨図屏風」
「動植綵絵」ではあんなにも細部までこだわって写実的に描き込んでいるのに、こちらのこの大胆なデフォルメと省略はいったい何なんだろう。鯨なんて、潮を吹いてなきゃただの黒い塊だし、象にいたっては脚がない!いやはや。もう笑っちゃいます。

さらに、着色画の目玉はこちら。

「樹花鳥獣図屏風」
何年か前のプライス・コレクション展でこれの姉妹編とも言えるのを見たが、モザイク状の桝目を埋めていくという前代未聞の手法で描かれた、奇想的な鳥獣図。いったい何でこんな技法を思いついたんだろう。

今回は若冲の同時代あるいは先達の絵師らの作品も展示して、影響を探っているのも興味深い。
水墨画だけじゃなくて、着色画もかなりの数を見ることができるし、珍しい版画類も展示されていて、若冲ファンは必見。

こう言っては失礼だが、千葉じゃなくて都心の大きな美術館で大々的にやっても不思議じゃない内容。これが東博でやってたら、平日でも行列ものだと思うなあ。図録も立派だし(グッズ類は少ないけど)、千葉美、よく頑張りました!
東京駅から快速なら40分くらいで行けます。ぜひお出かけ下さい。27日まで。