6月6日
太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/


鑑賞教室が1時過ぎに終わったので、真っ直ぐ帰るのももったいなく、原宿の太田記念美術館へ。ここはあまり広くないので、日曜だし混んでいたら嫌だな、と思ったのだが意外に空いていた。あまり宣伝してないのかしら。

この展覧会は、今年が北斎生誕250周年の記念として開催されているもので、前期「変貌し続ける才能」、後期「晩年の境地『冨嶽三十六景』」と、二期に分けての展示。

今は前期の展示で、正確にはまだ北斎と名乗っていなかった時代のものも多い。
コンセプトとして「 従来行われている北斎の展覧会では北斎の業績のみに注目が集まることがほとんどでしたが、本展覧会では、北斎の師匠である勝川春章、あるいは同時代に活躍した喜多川歌麿や歌川広重などのライバルたちの作品を交えて紹介することで、北斎の才能を検証するとともに、北斎がしのぎを削っていた当時の浮世絵界の様子もお伝えします。」
とある通り、北斎の作品だけでなく、同時代の他の絵師たちの絵と並べて見ることで、北斎が彼らから何を学び、どう自分の作品に生かしていったのか、が見られる仕組みになっている。

キャプションにもあったが、北斎は自分で新しいジャンルを生み出すと言うより、他の作者の、悪く言えば真似をしながら、それでも自分のオリジナリティを描き出していったようだ。だからジャンルによっては、美人画や役者絵など他の人に人気の点では及ばないものもあったが、随所に北斎らしさがうかがわれて面白い。
有名な「北斎漫画」なども先行作があるのだが、やっぱり北斎の方が面白い。


「絵本隅田川」
両国橋の上にびっしり人が。北斎の絵って、時々偏執的にまで細かい。


「見立三番叟」
肉筆画特有の色の繊細さが綺麗。

美人画、風景画、絵草紙などなど、様々な分野の絵が見られるが、今回初めて見たかな、という気がして特に面白かったのが挿絵の類。

「釈迦御一代記図会」
なんだか、現代の劇画のルーツと言ってもおかしくない。とっても緻密で迫力いっぱい。ほんとになんでも描いちゃう人だったんだな。

有名な「冨嶽三十六景」は見られないが、前期も十分に見応えありです。