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6月歌舞伎鑑賞教室「鳴神」 [舞台]

6月6日 国立劇場

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今月は新橋演舞場では歌舞伎の公演がなく、他にはコクーン歌舞伎だけ。つまり東京で古典歌舞伎をやっているのは国立だけということで、歌舞伎座という常設小屋がなくなるとこうなるんだなあ、と改めて思う。

日曜なので学生の団体はおらず、ほぼ満員だが静かな客席。
「解説 歌舞伎のみかた」は宗之助で、特に目新しいことはないが、例によっての客席から体験者を二人舞台に上げてのコーナーでは、見得の切り方、女方の歩き方などの定法通りの他に、効果音の大太鼓の叩き方、つけの打ち方などもあって盛りだくさんな内容。

歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
愛之助の鳴神上人、孝太郎の雲の絶間姫

愛之助の鳴神の初演は、2年前の松竹座での海老蔵の代役を勤めたときだが、この時は幸か不幸か(笑)海老蔵の時に見たので私としては初見になる。
冒頭ではすっきりとした二枚目ぶりが、気高い上人の雰囲気によく似合い、それが雲の絶間姫の話に身を乗り出していくあたりから滑稽さが滲んでくる様子がなかなか上手い。癪を起こした姫を介抱するところからはもうすっかり喜劇的になるのだが、盃のやり取りなどもおかしくはあっても品は悪くならないのは、仁左衛門仕込みということだろう。
線が細いのでどうかと思われた終盤も、隈をとった顔もなかなか凛々しく、ぶっかえりから弟子を相手の立ち回り、六方での引っ込みまで、弛緩なく勇壮に演じて傷のない舞台。初日から1週間経っていない時期でこれなら十分だろうと思う。

対する孝太郎の雲の絶間姫は三演目と言うことで、すっかり落ち着いた様子で、しっとりと色気があり美しい。夫との仕方話も面白おかしく可愛げがあり、、癪を起こした振りで上人を籠絡して行くところも才女ぶりを見せ、夫婦の盃を、となった途端に立場がすっかり逆転して上人をリードする姉さん女房のような雰囲気が何とも可笑しい。
酔いつぶれた上人にわびをする様子には真摯さがあり、こちらも最後まで充実した芝居。演技に余裕が感じられたのが何より。
孝太郎はこの数年、本当に綺麗になったし色気も出てきたと思う。

若松嶋二人は息もぴったり合って良いコンビ。おおらかだが品の良い松嶋屋の味わいをこれからも守っていってほしいと思う。(それにつけても、もう一人の従兄弟は‥‥。大丈夫なんだろうか?若い頃はいちばん期待されていたはずなんだが‥。)

白雲坊は松之助、黒雲坊は橘太郎でこちらも手に入った様子。
鑑賞教室はこのところ初演など役者の挑戦する舞台が多かったが、今月は本公演でかかっても全くおかしくない出来の舞台。

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