太田記念美術館



8月の妖怪画展に続いての芳年特集。今月は月をテーマにした「月百姿」全点を展示。
こちらは芳年最晩年の作品。芳年が達した芸境を見ることができる。

実在の人物、歴史上の人物、物語の一場面、、、月をモチーフにしながら、月が大きく描かれたものもあればほんの小さく見えるばかりのものもある。そういった月の取り上げ方もそれぞれ美しく、楽しい。


玉兎 孫悟空
これは月がいちばん大きく描かれた一枚。まん丸なお月様にうさぎと孫悟空の取り合わせが楽しい。



はかなしや波の下にも入ぬへしつきの都の人や見るとて 有子
これは水面に映る月。波に揺らぐ様子が繊細で美しい。


烟中月
火消しの背中を大きく描いて、炎の中に浮かぶ月はうっすら。粋な構図。

取り上げられている場面には、能や歌舞伎にも出てくる話があったり、源氏物語や源平の物語など有名なものもあれば知らないものもある。昔の人はこれらの絵を見て、あれね、ってわかったんだろうなあ。

妖怪図の方がインパクトは強いけど、じっくり見たい絵はこちらの方が多かった。
最終日に駆け込みで行ったけれど観られて良かった。