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上村松園―美人画の精華―展 [美術]

山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2017/uemurashoen.html

館所蔵の松園作品全18点を一挙に展示、同時に浮世絵から昭和までの美人画の数々を並べる。

考えてみると不思議なことに、松園が描く女はほぼ江戸時代かそれ以前の女だ。着物を着て髷を結う。でも浮世絵の美人画とは全く違う。清楚で品があって美しい。松園ご本人が「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語っているとおりである。

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上村松園 《つれづれ》
本を読む若い女性。顔だけでなく、着物や髪飾りも松園の美学。

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上村松園 《砧》
能「砧」に基づく、夫の長期の留守の寂しさに耐える女。でも感情を露わにはしない。ひっそりと悲しみを押し殺しているような。

そう、松園の女達は感情をむき出しにはしない。笑顔すらそっと微笑む程度。
描かれているのはほとんどが歴史上の人物などではなく、市井の女性なのだが、町娘のような女でもどこか現実味がない、手の届かない、空想上の女に見える。その現実味のなさこそが、実在しない理想の女という風に見えて、見るものの心を惹きつけるのかもしれない。

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上村松園《蛍》
これなんか、どこにでもいそうな女性のありふれた日常の一瞬を切り取っている。凄い美人でもないかもしれない。でもやっぱり理想化された絵という印象。

この展覧会では、松園以外の作家の作品も展示。浮世絵の春信や歌麿、近代の春草や清方、深水、現代の珠子や遊亀。。。技法や画風の違いはもちろん、「美人画」の捉え方の変化も感じられる展覧会。
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