2月20日(土) サントリーホール

バレンボイムとSKBが、日本でブルックナー・チクルスを敢行した。
ベートーヴェンやブラームス・チクルスはよくあるが、ブルックナーとは。え、ブルックナーって日本でそんなに人気あるんですか。
正直言うと、私はブルックナーは苦手で、この演奏会も最初は食指が動かなかったが、バレンボイムの弾き振りもあるのでやっぱり行くか~、と言う感じで足を運んだ。

この日はチクルス最終日。

プログラム
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番
ブルックナー:交響曲第9番

まずはバレンボイムのピアノでモーツァルト。オケはガンガン鳴らすし、バレンボイムはちょっとお疲れな感じもし、特に第2楽章などねちっこく聞こえて、個人的にはあまり好みのモーツァルトではなかった。もうちょっと、軽やかで爽やかなのが好みなの。やっぱりバレンボイムはベートーヴェンやブラームスみたいな方が向いてるのかな。。。?
でもバレンボイムは機嫌よかったらしく、アンコール2曲も弾いてくれた。
モーツァルトのピアノソナタ第10番から第2楽章アンダンテ・カンタービレ、第3楽章アレグレット。
ちょっと得した気分。だって他の日はアンコールなかったようなので。コンチェルトよりソナタの方がすっきりしていて良かったなあ。

後半はメインのブルックナー。先述の通り、普段あまりブルックナーを聴かないので、他の演奏との比較はできない。
オケは、モーツァルトより人数を加え、厚みがさらに増した。特に弦パートの圧力がグイグイ押してくる感じ。金管もパワフル。そこへ木管が天上から差し込む光のように透明感のある美しい響きを乗せる。ああ、ドイツのオケだな~、と聞き惚れる。

バレンボイムは、どっちかというと無骨にも見える指揮ぶりでムーティみたいな華麗な棒さばきではない。でも素晴らしい求心力があって、オケを引っ張っていく。
時に怒濤のように響く音がホールを満たし、時にひそやかな木管のソロが耳をくすぐる。その大波小波に飲み込まれて、気がつくとぽかんと口を開けて聴いていた。

いや、上手く言えないけど、これは凄いものを聴いているに違いない。それだけはわかる。今この時、サントリーホールに何かが舞い降りてきている、そういう感覚。

ブルックナー、面白いじゃないの。
うん十年クラシック聴いてきて初めてそう思ったくらいだった。これからもうちょっとちゃんと聞こうかな。

それにしても、チクルス全部通ったお客さんもいるんだろうな。強者。経済的にも、だけど。
チクルスの最終日と言うこともあったのかも知れない。何かしら、尋常ではない「気」が満ちているような演奏だった。