3月28日(木) 国立西洋美術館
http://raffaello2013.com/index.html



日本で初めてのラファエロ展だと聞いてびっくり。
でもそういえば、先日見たルーベンスと違って作品数そのものも少ないし、所蔵している美術館で門外不出のお宝扱いされているのがほとんどだから、まとまってみるなんて滅多に出来ないのか。
実は私自身は、ン十年前フィレンツェに旅行した時、当地でラファエロ展をやっていてかなりまとまって観ることができたのである。会場はウフィッツィじゃなくて、ピッティ宮殿だったかしら。もう記憶も朧だが。。。

ラファエロはダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並んでルネサンスの三代巨匠と言われる。他の二人より後に生まれたのでイタリア・ルネサンスの完成者とも。
絵の腕前は少年期から天才肌。それはこの展覧会でも20歳前後の絵を見ればわかる。師匠とされる画家達を既にしのぐ腕前。
若くして名声を得、ローマ教皇などをパトロンとして順風満帆な画家人生。そのせいなのか、あるいは持って生まれた性格ゆえか、ラファエロの絵にはミケランジェロの陰気さやダ・ヴィンチの小難しさがない。
文字通り、ルネサンスに開いた花のような優美さ。


聖ゲオルギウスと竜
21,2歳の作品。構図はダ・ヴィンチを模したものとか。
ラファエロの絵では比較的珍しい劇的なポーズや、ブリューゲルを思わせるような背景の風景が面白い。


聖家族と仔羊
これも24歳くらい。やはりダ・ヴィンチに似た構図のものが。少女のようなマリアと老人のようなヨセフの釣り合いはこの頃の聖家族画として普通なのね。幼子イエスが普通の子供のような愛らしさなのが素敵。マリア様の衣服の赤と青の色合いが美しい。


ベルナルド・ドヴィーツィ枢機卿の肖像
肖像画家としてのラファエロの技量の高さがよくわかる一枚。引き締まった知的な顔。写真ではわかりにくいが緋色のマントは織り地の模様まで克明に描かれていて生地の手触りまで感じられる。


大公の聖母
これが、23,4の時の作品と言うから凄い。題名は、この絵をトスカーナ大公が長らく愛蔵していたことによるらしい。背景が黒い聖母子像はラファエロ唯一らしいが、これは後年になって塗りつぶされたらしく、元はよくあるように風景が描かれていたことが近年の赤外線解析などでわかったとか。でも怪我の功名ではないが、シンプルな黒い背景に、聖母子がくっきりと浮かび上がる美しさはラファエロの数多い聖母子像でも一二を争うのでは。

これらの他、珍しい素描(これがまた上手い)や版画、ラファエロの絵を元にした絵皿なども見られる。
また、師匠や同時代の他の画家、工房の弟子などの絵も。でも他の人の絵を見ると余計に、ラファエロのすごさが際立ってしまうけど。

ラファエロ見るとまたフィレンツェに行きたくなってしまった。いつか再訪できる日は来るかしら。