2月5日(日) 三菱一号館美術館


岐阜県美術館の所蔵品と、三菱一号館美術館が新たに所蔵した「グラン・ブーケ」を展示する展覧会。

ルドンには大きく分けて二つの時代があって、版画を中心とした前半生の「黒の時代」と、後半生の「色彩の時代」と、まったくと言って良いほど印象が違う。

黒の時代には、幻想的でちょっと不気味な絵が多い。大きな目玉や、蜘のお化けみたいなのが出てくる。怖いようで、でもちょっとユーモラスだったりもする。


「夢の中で」(1879)
目玉親父もびっくりですわ。


「光の横顔」(1886)
これなんかはルドンの版画の中では例外的に「まとも」。中世の物語の登場人物のような静かな美しさが印象的。

それが色彩の時代に入ると、まるで何かを解き放ったように明るい華やかな色で溢れた絵が多くなる。


「ベアトリーチェ」(1897)
まだ過渡期っぽい。抑えめな色調が綺麗。"ルドンらしくない"1枚かも。


「眼をとじて」(1900年以降)
花、眼をとじた女性、と晩年のルドンにたびたび登場するモティーフの揃った絵。

そして目玉の「グラン・ブーケ」は、文字通り大きな花束。何しろ縦が248.3センチという大きさ。お城の壁を飾るよう依頼されて描かれた作品だそうで、存在感は圧倒的。色も鮮やかで綺麗。

ルドンというと、象徴主義とかいろんな小難しい心理的な解釈とかがついて回るけれど、こうして黒から色彩の時代と通じてみると、結局生涯を通してルドンが描いていたのは「夢みる心」とでも言うようなものだったのかしら、と思う。

ルドンの作品以外にも、同時代の影響を与え合った画家の作品、モロー、ゴーギャン、ベルナール、セリュジェなども展示。こちらも思いの外充実していたのでお見逃しなく。

とは言え、やっぱりこの美術館はストレスフルなのよ。
このチラシもセンス悪いしねえ。相変わらずダメダメな美術館だなあ。
日曜午後だったが比較的空いていました。