11月14日(月) サントリーホール

昼は国立劇場で歌舞伎を観て、夜はコンサートへ、と言うダブルヘッダー。さすがにちょっと疲れる。

指揮:デイヴィッド・ジンマン
チェロ:ヨーヨー・マ
管弦楽:チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

プログラム:
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 op. 107
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

ヨーヨー・マとの来日公演のプログラムは2種類あって、翌日はドヴォルザークのコンチェルトだったが、迷わずこっちを選んだ。ドヴォコンももちろん大名曲だが、ヨーヨーがショスタコをどう料理するのかの方が興味深かったので。
というのは、ヨーヨーのチェロというと、情感豊かに歌い上げる、と言う印象があって、それと熱いけどドライなショスタコとは私の中で若干ギャップがあったのだ。
それが蓋を開けてみると、いやぁ、さすがはヨーヨー。テクニック的にも超難曲だがちっともそんなことは感じさせず、たっぷりと朗々と、あのショスタコ節を歌っていく。ええ、ショスタコってこんな美しいメロディ書いてたっけ!?と思うくらい。そう、ヨーヨーのメロディアスに歌う演奏と、ショスタコの無機質ささえ感じさせる音楽が絶妙にブレンドされて、まさに極上の味わいを醸し出した。
1楽章丸々カデンツァという、長大な第3楽章はまるでバッハの無伴奏組曲を思わせる緊張感と荘厳ささえ感じさせつつも、まれに見る美しさに息をのむほど。
ショスタコの曲を、格好いいとか面白いとか思ったことは幾度もあるけれど、これほど美しいと思ったことは初めてだと思う。
さすがはヨーヨー。ただ感動。

しかし、ヨーヨーももう50代半ばのはずだがいつまでも若いなあ。あの笑顔がキュートなのよね。

鳴り止まない拍手にアンコールは、カザルスの「鳥の歌」を。これもまた、天に昇るような崇高な響きで、まさに至福のひととき。

後半はマーラーの5番。私はマーラーが苦手なので、コンサートもマーラーが入っているのは滅多に行かない。なので、他の演奏と比べることはできないのだが、このオケは上手い!派手さはなく、と言っていぶし銀という感じでもないが、とてもバランスが良くて、管も弦もよく鳴ってるし、ジンマンの指揮の下とても統制された引き締まった、実に気持ちいい演奏。たぶん、マーラーとしては健康的な演奏だったのではないかしら。
95年から首席指揮者を務めるジンマンとの関係も良いのだろう、とても息の合った様子で、と言ってなれ合うでなく、ツーカーの関係とでも言うか、ジンマンの指示に即座に反応しているというのが見て取れる。客演ではない良さが随所に感じられた。
なお、この曲の第3楽章では、ホルン奏者がコンチェルトのように前に出てきて演奏していた。確かにホルン大活躍だが、こういうスタイルは珍しいらしい。

大曲2曲でアンコールはなかったが、十分堪能。

(余談ながら)このオケ、団員の平均年齢も割と若そう。その上、無駄に(?)メンバーにイケメン多し!特に金管と打楽器パート(笑)。席がステージサイドだったので、眼福でした。