3月28日(月) Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.vermeer2011.com/index.html

震災後、都内の美術館も多くのところが閉館している。施設に被害があったところもあるし、節電や来館者の足の便を心配してと言うところもあって、音楽や舞台だけでなく、美術シーンも冷え込み気味。Bunkamuraも開館はしているが、時間を短縮とのこと。
他にやってる美術館が少ないせいか、平日にしては混んでいて、美術好きの人たちがいささか飢えてきているのかも、なんて思ったりした。


フランクフルトのシュテーデル美術館所蔵の作品のうち、17世紀のフランドル絵画を一堂に展示する展覧会。
目玉はなんと言ってもフェルメール。現在全世界で30数点しかないフェルメール作品の一つで、東京では初公開という「地理学者」。男性がモデルの作品は2点しかないと言うから、まさにレアもの。

とは言っても、実は私はそれほどフェルメールファンじゃないの。フェルメールは、それこそ信者とでも言うべき大ファンがたくさんいるようだけど、私にはあまりその良さがよくわからない。私のような凡人にはフェルメールの絵はあまりに「普通の世界」過ぎるのかもしれない。
この作品も、いろいろ解説はされていたけど(HPをご参照下さい)、正直言って「ふ~ん」という感じで、それほど心惹かれることもなかった。いやもちろん巧いとは思うんだけど、そんなもてはやすような絵でもないだろう、って感じかなあ。


と言うわけで、私的にこの展覧会一押しはこちら。
レンブラント「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」
ダヴィデに槍を投げつけようとする直前のサウル王の心の葛藤を描いた作品。大きな絵ではないので、ダヴィデの方ははっきり見えず、王の顔も小さいのだが、緊迫した一瞬を見事にとらえた、レンブラントらしい一枚。やっぱりこういうドラマチックな絵の方が好きなんだわ。


一方こちらは市民生活を描いたボルヒ「ワイングラスを持つ婦人」
当時の風俗が垣間見られる、飾らない雰囲気が楽しい一枚。


フランドル絵画と言えばブリューゲルを忘れるわけにはいかない。ブリューゲルはヤン親子にペーターと何人かいてややこしいが、これは父ヤンの工房作品「ガラスの花瓶に生けた花」。”花の画家"として人気を博したヤンらしい、精緻な描写で色とりどりの花(実際には季節が違うもの)を描いた豪華な絵。中世にはこういう花だけを描いた絵というのもなかったわけで、 それだけ市民社会が豊かになってきた証拠とも言えるのだろう。

他にもやはりこの頃から盛んに描かれるようになった風景画も多数。町中や森の中だけでなく、海洋国家オランダらしい、海辺の風景画も多い。

フェルメールやレンブラント、ルーベンスにハルスなどの他は、あまり名の知られていない画家が多いが、出品されている絵の水準は高い。私同様、フェルメールはあんまり、と言う人でも一見の価値ありの展覧会です。