2月27日(日) 山種美術館
http://ukiyoe.exhn.jp/

なんだか、浮世絵展というと外国からの里帰り展ばっかりなのはちょっと寂しいけれど、今回もボストン美術館からのもの。ボストンって、どんだけ浮世絵持ってるのかと思うくらい、毎年のようにこういう展覧会があるような気がする。
今回はその膨大なコレクションの中から、天明・寛政期(18世紀末頃)という「錦絵の黄金時代」に焦点を当て、その頃活躍した清長、歌麿、写楽の3人を中心とした作品を展示。ほとんどが美人画や役者絵などの人物画で、北斎や広重のような風景画はほとんどない。
選りすぐりというだけあって、どれも保存状態は素晴らしく良く、ほとんど退色もしていないのは見事。


清長 雛形若菜の初模様 丁子屋内 丁山 しをり つまき
吉原の遊女を描いたもの。「雛形」は当時の衣装カタログのような見本帳。「若菜の初模様」は新春に披露される新作模様のこと。とは言えこの絵は、雛形になぞらえて一人前になった遊女のお披露目というニュアンスのものらしい。着物の柄が綺麗。二人の禿の髪飾りが豪華だな~。重そうだけど。


同じく清長 子宝五節遊 重陽
子供の節句の遊びの様子を描いたシリーズものの一枚。重陽の節句は9月9日、菊の節句。他に雛祭りや端午、七夕など。裕福な家の子供なのかな、丸々して可愛い。


歌麿 青楼遊君合鏡 丁子屋 雛鶴 雛松
淸長の絵がほとんど全身像だったのに対し、歌麿は大首絵という顔のアップの絵で一世を風靡した。
これもその1枚だが、高い技術で描かれた団扇の透け感が美しい。


写楽 四代目岩井半四郎の乳人重の井
写楽の絵は、昨秋の「蔦重」展でも多く見た。歌麿が確立した大首絵を、さらに対象を極端にデフォルメしてまでモデルの内面に迫った独特の世界が面白い。でも描かれた役者の方は、これ嬉しかったかな~?


写楽 天王子屋里虹 二代目山下金作の仲居おかね実は貞任妻岩手御前
これも同じく役者絵だが、どう見ても現代の翫雀さんにそっくり!会場で見た途端笑いそうになっちゃった。翫雀さん、江戸時代でも通用する立派な役者顔!

風景画がないのと、肉筆画も数点しかないのはちょっと残念だが、錦絵の美しさを堪能できる展覧会。
なお、イヤフォンガイドのナレーターは、自身浮世絵コレクターの市川亀治郎さん。私は音声ガイド苦手なので借りなかったけど。