2月22日(火) 出光美術館
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

先月の第一期に続いて、第二期は酒井抱一と鈴木其一がメイン。
「転成する美の世界」と題して、宗達、光琳の流れをくみながらも、江戸で独自の発達を見せた抱一と其一の美の世界を見せてくれる。

まず前半の抱一では、人気の「風神雷神図屏風」から。宗達、光琳も描いたこの主題に抱一がどう挑んだか。先達二人の絵の写真も横に掲げて解説してくれているのがわかりやすくて良かった。

でも他のどの絵よりも心惹かれたのは、抱一の「紅白梅図屏風」。右隻に紅梅、左隻に白梅。余計なものは何もなく、ただ梅だけが銀箔地に描かれたそれはそれは気品溢れる絵。




光琳の紅白梅図が金箔地に描かれた絢爛豪華なものなのに比べると、こちらはやや地味かもしれないが、清楚で瀟洒で、早春のまだ寒さが残る季節のピンと張り詰めた空気まで感じられるよう。
写真ではよくわからないが、実物は、銀箔に絵の具がしみこまないためか、一つ一つの梅の花やつぼみが日本画にしては珍しく盛り上がったような筆の跡が見える。それが何ともふくよかで愛おしい。
ちょうど今、季節も梅の頃。この時期にこの絵をまた観られてほんとに嬉しい。

抱一では他にも代表作の一つ「夏秋草図屏風」の下絵や、「八つ橋図屏風」、「十二ヶ月花鳥図貼付屏風」など。草花の絵の、特に葉や幹の部分のたらし込みの技法が綺麗で好き。

其一は抱一の弟子。的確で写実性に優れながらも構図の妙や色使いの華やかさがあって、京とは違う「江戸琳派」を確立した。

四季花木図屏風(左隻)

金箔を使った艶やかな絵も多いが、今回の展示作品の中で気に入ったのはこれ。


「蔬菜群虫図」
其一の絵の中では色数も少なくてぱっと目に華やかではないが、丁寧に描かれた胡瓜と茄子の花と実が何とも可愛らしい。下の方の葉が枯れかかって虫食いがあったりするのは、若冲の影響も、と言われるとそんな感じ。若冲にもこういう虫と草花の絵があった。

他に、第一期同様、乾山の焼きものなども展示。

閉館間近に行ったので、一通り見終わってからもう一度抱一の紅白梅図を見に行ったら、周りに誰もいなくてじっくり見られて、なんだか独り占めしてるみたいでとても嬉しかった。

第一期を観た人も観てない人も、どうぞお見逃しなく。