10月24日(日)
太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/index.html


近頃浮世絵展と言えば、外国からの里帰り展ばかり、と言うのもなんだか寂しい気はするが、あちらで大事に保管してくれていたことはありがたいと思わなければならない。
今回はドイツのハンブルクからの初の里帰り。
ジャンルはあまり偏らず、浮世絵の歴史もたどれるし、美人画、役者絵、風俗画、等々さまざまなタイプの良品が並び、水準は高い。
取り上げられている画家も、春信、清長、北斎、広重、、、と有名どころはほとんど出ていると思う。


喜多川歌麿「美人子供行列」
花見帰りらしい着飾った女子供たち。昔からお花見は一大イベント。


歌川国芳「東都富士見三十六景 山王神事雪解けの富士」
遠見の雪の富士と、手前の山王祭の山車の対比が綺麗。山車の上の人(人形?)の姿形が面白く、国芳らしい楽しい1枚。


河鍋暁斎「大黒(部分)」
七福神の大黒。ほんとは恵比寿と双幅で展示。
大黒様の手の鼠が、鈴と扇を手に、頭には烏帽子で三番叟になっているのが何とも楽しい。お決まりの題目も、暁斎の手にかかると一ひねりされる。肉筆画の色合いも綺麗で、今回いちばんお気に入りの絵。

どれも保存状態もとても良く、浮世絵好きなら見逃せない展覧会。
一つだけ残念なのは、会場が小さいため3期に分けての展示となっていて、通期展示の絵はわずかなこと。リピーター割引はあるようだが、なかなか3回は行けないだろう。今回地下の展示室は使っていなかったが、あそこも使えばせめて前後期になったんじゃないかな。やや不親切な気がした。

この美術館、いつ行っても外人の客が多い。この日もかなりいらしていた。きっとガイドブックに浮世絵専門美術館として紹介されてるんだろうな。でももしその中にドイツからの人がいたら、わざわざ日本まで来て自分の国の美術館の所蔵品を観るって、どうなんだろう、なんてちょっと思ってしまった。