5月9日
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


青山の根津美術館は去年の秋に新装オープンした。それ以来初めて訪れたのだが、実を言うとその前に行ったのはもう10年近く前、やはり燕子花図を観に行ったときなので、前がどんなだったのかよく覚えていない。
エントランスは、建物の壁は茶色の細い竹(あるいは葦?)で覆われ、通路の外側には青竹が植えられていてとても日本的な美しさが印象的。
ロビーも外光がよく入るガラス張りで広々とした雰囲気でとても綺麗だった。

今回の展示は、国宝の光琳作「燕子花図屏風」を中心に、琳派の作品を公開するもの。
入って最初にあったのは、宗達の工房「伊年」印のある「四季草花図屏風」で、繊細な花の描き方が琳派の先駆けといった風で美しい。
でもそれより私の目を引いたのは、その次の同じ「伊年」による「夏秋草図屏風」(前期展示)。銀色の地に葉の部分はほとんど水墨画のたらし込み技法のような感じで渋い表現だが、花の方は立ち葵や桔梗などが色鮮やかで、その対比がとても綺麗だった。(絵はがきもなく、チラシも図がなくて残念)


さて眼目の「燕子花図屏風」は、何度観ても圧倒されるような、いかにも琳派の絵、なのだが、よく見れば、いやよく見なくても、この絵は色数がすごく少ない。葉の緑の濃淡と花の紺色の濃淡、はっきり言って4色だけなのである。いやはや、それでこんな華麗な絵が出来上がるというのも不思議といえば不思議。構図の妙も面白く、いくら見ても見飽きない。


鈴木其一「夏秋渓流図」
言われないと其一だと思わなかった。其一といえばもっと繊細で優美な絵を思い出すのだが、これはなんだか狩野派のような力強い絵でちょっと不思議。でも細部の花や枯れ葉の表現はやっぱり其一かな。


野々村仁清「色絵山寺図茶壺」
こちらは一目で仁清とわかる。華麗で優美な絵付けが素敵。

この他にも光悦の書や乾山の器、抱一の絵なども展示されている。

また他の展示室でも特集展示があり、第5室の「花模様の器」では色鍋島や景徳鎮、仁清の器など充実した展示があってこちらも必見。
第6室では「燕子花図屏風の茶」として、昭和6年5月に初代根津嘉一郎が「燕子花図屏風」を披露した際に催した茶会を再現、使われた茶器などを観ることができる。茶道の世界には疎いが、それぞれいわれのありそうなお道具は、わからないなりにも美しいと思う。

最後にお庭を拝見。ちょうど池のかきつばたが満開で綺麗だった。ここのお庭、あちこちに石仏や石塔などがさりげなく置かれているのだが、それらも立派なコレクションだろうに、外で雨ざらしでいいのかなあ、なんて要らぬ心配をしたりした。