11月4日 トッパン・ホール



プログラム
ブラームス:
エオリアン・ハープに寄せて Op.19-5
ひばりの歌 Op.70-2
ナイチンゲール Op.97-1
夕べの雨 Op.70-4
テレーゼ Op.86-1
たそがれ Op.49-5
私の思いはあなたのもとへ Op.95-2
私は夢を見た Op.57-3
ねこ柳 Op.107-4
  ・・・休憩・・・
R.シュトラウス:
ダリア Op.10-4
たそがれの夢 Op.29-1
単調さ Op.69-3
おお、あなたが私のものなら Op.26-2
解き放たれて Op.39-4
さすらい人の心の安らぎ Op.67-6
帰郷 Op.15-5
万霊節 Op.10-8
セレナード Op.17-2

アンコール
ブラームス お前の青い瞳よ
ウェーベルン 似たもの同士
ブラームス 傷ついた私の心
アイヴス イルメナウ
シューマン 出会いと別れ
ベルク 山のかなたの

日本を代表する、というより世界的なリート歌手、メゾソプラノ白井光子さんと長年のパ-トナー、ヘルさんとのデュオ・リサイタル。
一時期は毎年秋に紀尾井ホールで演奏会があって、聴きに行っていたのだが、白井さんの病気やヘルさんの故障などがあって、数年ぶりのステージ。
復帰を待ち望んでいたファンも多かったのだろう、チケットは完売。

プログラムはブラームスとR.シュトラウス。どちらもオーケストラの曲などの方が有名だけど、特にR.シュトラウスは私は仰々しい交響詩などより歌曲の方がずっと好きだなあ。

こちらは素人でドイツ語も全くわからないから、定評のある白井さんのリートの解釈とかは申し訳ないけど深くは解らない。でもいつ聴いても白井さんの深くて静かな声は胸にしんしんと響いてくる。今回のプログラムでは、あまりハッピーで明るい歌はなかったのだけれど、人生の、愛の切なさや苦しさ、そして喜びがじんわりと心にしみわたってくるような。
そしてそんな白井さんの歌にそっと寄り添い、また励まし、あるいは時に挑発するようなヘルさんのピアノは音色がほんとうに美しくて、やっぱりヘルさんあっての白井さんなんだなあ、と改めて感じる。

アンコール最後の曲の前に、白井さんから「ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、3年半ほど前に大病をしまして。。。一時は手も足も動かなくなって。。。こうしてここに立ててほんとうにうれしい」との言葉があり、少し涙ぐんでおられました。
ご病気という噂は聞いていたけど、そんなに大変だったとは知りませんでした。復帰なさったご本人ももちろんうれしいでしょうが、ふたたび白井さんの歌声を聴けたファンはもっとうれしかったです。

サイン会があったので、CDにサインをいただきました。間近で見た白井さんは日本人としても小柄な方。小さな体で世界中で活躍されて、体力的にも大変だろうなあ。どうぞお元気でまだまだ素晴らしい歌をお聴かせ下さい。

会場の外に出ると、ぼんやりとしたお月様が出ていて、「神様、白井さんを私たちのところに返して下さってありがとう」と心から思いながら帰り道を急いだのでした。


Wolf: Goethe-Lieder

  • アーティスト: Hugo [Composer] Wolf,Mitsuko Shirai,Hartmut Höll
  • 出版社/メーカー: Capriccio
  • 発売日: 1999/11/02
  • メディア: CD

この日買ったのはこのCD。ヴォルフの歌曲も好き。