2月27日(月) サントリー美術館


大阪市立東洋陶磁美術館のコレクション展。この美術館にも行ったことがあるし、数年前にコレクションの母体となった「安宅コレクション」展が三井記念美術館であったときも見ている。また、去年「浅川兄弟の目」展にもかなり出品されていたので、ほとんどの品が再見。

国宝2件、重要文化財13件のすべてを含む中国と韓国の陶磁器の名品がずらりと並ぶ様は壮観。中国には中国の、韓国には韓国の独特の美の世界があり、また時代によっても違う。どちらかと言えば、中国の方が大きさも大きくデザインも剛胆な感じ。韓国は繊細ですっきりしたものが多いという印象。


国宝 油滴天目茶碗
建窯南宋時代 12-13世紀
関白秀次が所持していたという名品。器の内側にも外側にもびっしりと油滴のような斑紋が虹のように表れている。キラキラして、まるで金属みたいにも見える不思議な器。これでお茶立てたんですかねえ。贅沢だけど、抹茶の色が映えそう。


重要文化財 法花花鳥文壺
明時代 15世紀
展示品の中でもひときわ目を引くコバルトブルーの青が鮮やかで絵も美しい。


青磁陽刻牡丹蓮花文鶴首瓶
高麗時代 12世紀
すっと伸びた首が、よく見ると少しねじれたようになっている独特のフォルムが綺麗。写真では小さくてわかりづらいが、一面に蓮の花が印刻されている優美な作品。
手元にある安宅コレクションのカタログには、作家の立原正秋がこれを「三十女がふとたちどまり、ちょっと後ろをふfりむいた、といった風姿である」と評したという。さすがに上手いことを言うものだ。


青磁象嵌 葦芦水禽文 陶板
高麗時代 12世紀
韓国陶磁によくある、この青磁象嵌という手法のものが私は特に好き。素朴な絵柄なんだけど、色に品があって優しげ。これは珍しい陶板だけど、壺、瓶の類も多い。

茶道と密接に結びついて洗練されていった日本の焼き物とはまた違う、おおらかさと美しさのある中国と朝鮮の陶磁器の美を堪能できる。大阪まではなかなか行けないのでぜひ。

そしてこうしてみると、改めて、安宅氏の審美眼に感嘆し、コレクションが散逸しなかったことをありがたいと思う。