4月26日(火) 国立西洋美術館
http://www.ntv.co.jp/rembrandt/index.htm



「レンブラント光線」なんていうものがあるくらい、レンブラントの絵に光と闇は切っても切り離せない。たとえ肖像画であっても、どこからか差してくる光に対象は照らされ、背後は闇に沈んでいる。だから、レンブラントの光と闇に着目した展覧会、なんて言うと「そんなの、作品全部やん!」と思ってしまったのでした(苦笑)。

この展覧会では、特にモノクロの版画作品での光と闇の表現をレンブラントが追求していった軌跡を中心に据えていて、油絵は少ないのでやや、と言うかかなり印象としては地味かも。
今回特に面白かったのは、版画作品のステートや刷られた紙質の違いによる表現の変化を丁寧に解説してくれていること。
普通の展覧会では、一つの版画に一つのステートや紙のものだけが展示されることが多く、そういった違いをきちんと見ることはあまりなかったが、今回のように並べて見せてもらえると、素人目にも違いがわかる。
中にはステートが進むと構図まで変化しているものもあったりして、これはもう別の作品と言っても良いんじゃ?と言うくらい。


版画の代表作《3本の十字架》 第5ステートまであるうちの第3,と4.小さくてわかりにくいが、かなり違う。

また紙では、当時一般的だった西洋紙(現代のパルプではない、古布を煮溶かして再生したもの)の他に、レンブラントは和紙を愛用していた。ほとんど真っ白で白黒がはっきり出る西洋紙に対し、やや黄みがかって柔らかな印象の和紙。同じ作品の同じステートでも、紙が違うとまた違ってくる。どっちが良いというのは好みの問題。細かい図柄の作品だと、西洋紙の方がはっきり線が見えて見やすい印象だった。


《羊飼いへのお告げ》
線だけでこんな濃淡を描き出す。これくらい細かいと西洋紙の方がすっきり見える。

数は少ないが、油絵ももちろん出品。


《東洋風の衣装をまとう自画像》
レンブラントは東洋趣味があったのか、こういう風俗の絵を多く描いている。この絵で珍しいのは犬。狩猟犬のプードルだけど、何故か後半身は毛がないの!


《書斎のミネルヴァ》
豪華な衣装をまとった、知恵の女神。生地の質感、金糸の縫い取り、テーブルクロスの刺繍など細部まで描き込まれた、レンブラントの技術の素晴らしさ!

地味だけど、レンブラント好き、版画好きな人にはたまらない展覧会。
ただし、すごく目が疲れました(苦笑)。