6月22日 横浜みなとみらいホール
「哀愁のブラームス」上村昇&迫昭嘉



みなとみらいアフタヌーンコンサートとして開催のため、平日の午後1時半スタート。
最近増えてきた、この手の音楽会。主な客層は有閑マダムとリタイアした年配の人たち。若い人がほとんどいない(苦笑)。

プログラム
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調op.38
  ・・・・休憩・・・・
ドヴォルザーク:母の教え給いし歌
サン・サーンス:白鳥
エルガー:愛の挨拶
リムスキー=コルサコフ:熊ん蜂の飛行
フォーレ:夢の後に
フォーレ:蝶々
カザルス:鳥の歌
ファリャ:スペイン舞曲第1番 

アンコール
ゲインズ:スケルツォ
カサド:真愛なる言葉

みなとみらいホールはとても音響の良いところで、大ホールでリサイタルってどうよ、という懸念は最初の音で消し飛んだ。
上村さんのチェロは、いつもながら音の響きが本当に美しく、豊かで詩情あふれるような演奏。

この日の白眉はやはりブラームスのソナタ。上村さんのブラームスを生で聴くのは何年ぶりだろう。朗々とメロディーを歌い上げながら、でも甘ったるくない。チラシの「哀愁のブラームス」というコピーはいささか安っぽいが、暖かさと一抹の寂しさが感じられる。
迫さんのピアノもかっちりと構築されているようで、がちがちでない自由さとしみじみとした味わいがあり、長年のお二人の交友があってこそ、と思われるようなてらいのない素晴らしい演奏。

後半はいわば大アンコール大会といった趣で、ちょっと肩の力を抜いて、アフタヌーン・コンサートらしい名曲を次々と。といっても、もちろん演奏は手抜きじゃないけど。
ところが、最後のファリャで上村さんが「間違えました!」といってやり直すハプニングが(笑)。音じゃなくて、たぶんリピートを飛ばすか何かしたのかな?上村さんらしくない~。でもまあ、ご愛嬌ということで。

でも、こう言っては語弊があるかもしれないけど、こういういまいち反応の鈍い客が多いリラックス・ムードの演奏会じゃなくて、本式のしっかりしたリサイタルをやってほしいなあ。こんな素晴らしい演奏なのに、もったいない気が始終してしまった。