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国立劇場10月歌舞伎公演第二部 [舞台]

8月から始まった歌舞伎座に遅れて、国立劇場でも10月からやっと歌舞伎の本公演が始まった。ただやはり客席は一人おきの半分、ロビーや客席での飲食禁止など制限の元ではある。

魚屋宗五郎

魚屋宗五郎 尾 上 菊 五 郎
宗五郎女房おはま 中 村 時  蔵
磯部主計之介 坂 東 彦 三 郎
磯部召使おなぎ 中 村 梅  枝
酒屋丁稚与吉 尾 上 丑 之 助
鳶吉五郎 市 村 橘 太 郎
岩上典蔵 片 岡 亀  蔵
小奴三吉 河原崎 権 十 郎
菊茶屋女房おみつ 市 村 萬 次 郎
宗五郎父太兵衛 市 川 團  蔵
家老浦戸十左衛門 市 川 左 團 次

至芸、とはこういうのを言うんだろう。菊五郎の宗五郎である。さらさらと何気なくやっているようで一分の隙もない。花道の出での橘太郎との短いやりとりだけで心中の暗さをしっかりと印象づけ、父への理を説く台詞にしらふの時の沈着な男を見せ、それが酒が入るとだんだん変わっていく面白さ。しかし暴れても口が悪くなっても、あるのは妹の理不尽な死への怒りだ。といっても磯部邸での文句にもあくまで軽妙な可笑しさがあり、とにかく面白い。菊五郎の世話物は、台詞といい動きといい、江戸の庶民の生活の匂いのようなものが眼前に立ち上るような心地がする。

今回は周りも鉄壁の菊五郎劇団の面々が揃う。時蔵のおはまは菊五郎との息もぴったりで、さすがに良いおかみさん振り。
團蔵の親父さんも良い味だし、出色は梅枝のおなぎで、お蔦が殺された事情を語る様子が芝居がかってぐんぐん惹きつける。ちょっと落語みたいだったけど。
丑之助君も前見たときよりずっと上手になって、台詞も、間もしっかりあって、大きな声ではっきり言えていた。こどもの成長は早いなあ。
隅々まで菊五郎の息がかかった、素晴らしいアンサンブルを堪能した。ああ、劇団芝居って良いなあ、としみじみ。

太 刀 盗 人

すっぱの九郎兵衛 尾 上 松  緑
田舎者万兵衛 坂 東 亀  蔵
目代丁字左衛門 片 岡 亀  蔵

休憩を挟んで後半は踊り。これはもう文句なしに愉しい。松緑のすっぱはメークからしてやり過ぎギリギリの可笑しさで、大げさな仕草や表情、台詞で笑わせる。万兵衛の亀蔵と息がぴったりで、ワンテンポ遅れた連れ舞とかものりのり。明るく笑って楽しく打ち出し。

歌舞伎座は一幕ずつだが、国立は二幕見られてチケット代もリーズナブル。やっぱり二幕くらい続けて見ないと、歌舞伎を見たって気がしないな、と改めて思った。
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