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月岡芳年 血と妖艶 [美術]

太田記念美術館

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芳年は国芳の弟子で、幕末から明治にかけて活躍した。美人画などの繊細な絵も美しいが、「血みどろ絵」と呼ばれる凄惨な殺しの場面を描いた絵も人気を博した。今回の展覧会は、前後期に分けて、芳年の画業を「血」「妖艶」「闇」という3つのキーワードで探る。

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「東錦浮世稿談 向疵与三」
これは芝居の一場面だが、それまでの役者絵でここまで血を描いたものはなかっただろう。
これ以外の血みどろ絵もかなり残虐なシーンを描いている。現代の目から見ると、写真に比べればリアルさでは劣るのだが、かえって想像力をかき立てられる気もして怖い。

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「風俗三十二相 いたさう」
一方こちらは美人画の類いで、師の国芳にも似たようなシリーズがあるが、芳年の繊細な線描の美しさや着物の描き方に腕の確かさが感じられる。

国芳が例えば妖怪や幽霊画で怖がらせるとすれば、芳年は本物の人間の業を描いてゾクッとさせる。中には目を背けたくなるものさえあるが、やっぱり面白い。
前後期入れ替え。後期も見たい。
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